年収180万円・貧困フリーター、行政の支援で就職したら…ブラック企業でますます貧困に
週刊SPA!では過去、数年間にわたって貧困に苦しむ人たちを取材してきた。「生活費が払えない」「会社がブラックで精神がおかしくなった」「子供を育てられない」そう嘆いていた彼らはその後、どうなったのか。再取材を通じて近況を尋ねてみた。
豊島区在住の林秀一さん(仮名・取材当時は25歳)は、「りべるたん」という、有志が集まって運営する協同スペースで暮らしていた。関西の大学を卒業後、もともと仲の悪かった親と絶縁してアルバイトを転々とする。一念発起して上京後もアルバイトで生活し年収は180万円程度。350万円の奨学金返済も不可能な状態だった(’16年6月28日号の特集『若者の貧困 衝撃ルポ』に登場)
約2年ぶりに再会した林さんの顔には、当時以上に生気がなかった。以前と変わらない共同施設で暮らしながら、’17年の春頃にようやく正社員雇用を得たそうだが、思わぬ重労働が待っていたという。
「東京都の就活支援事業で紹介されたIT系の派遣会社に就職したのですが、そこが典型的なブラック企業だったんです。毎月の残業は120時間を超え、手取りは12万円。就労時間を偽装されているため、もちろん残業代も出ない」
アルバイト時代のほうが高収入だったと語る林さんだが、収入だけでなく精神もすり減らすことに。
「毎日8時から終電まで働き、睡眠時間は3時間もありませんでした。IT関連の企業へ出向するのですが、それもよくよく調べたら偽装請負だったし、なんのIT知識もない僕のような人間が経験者として派遣されるんです。出向先で毎日のように罵倒され、精神を病み適応障害と診断されました。肌は黒ずみ、周囲からは『死相が出ている』と言われたし、同僚もゾンビのような人ばかりでしたね」
命の危機を感じて’17年10月に辞職するが、それから会社からの執拗な嫌がらせが始まったそうだ。
「退職後は何十件も電話がかかってきたり、深夜に押しかけられてドアをノックされたりもした。そんな人たちに負けたままはイヤなので、なにがなんでも未払い残業代を払わせようと動いています」
現在は失業保険で生計を立てる林さんに今後の展望を聞いた。
「お金を貯めて訓練学校に通い、今度こそ手に職を付けようと思います。あとはやはり、未払い残業代。労基署やユニオンとも連携して全力で取り戻したい」
前回取材時よりも厳しくなっていた林さんを取り巻く状況。貧困脱出は容易ではないのか。〈取材・文/週刊SPA!編集部〉
※週刊SPA!1月30日号「[ニッポンの貧困]再訪ルポ」特集より
行政から紹介されたのは超絶ブラック企業だった

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