「芸能マネージャー専門学校」があるって知ってた? なにを学ぶの?
医療、工業、服飾・家政など多岐にわたる分野で、実践的な職業教育や専門的な技術教育を行っている専門学校だが、その中にはユニークな学科も存在する。芸能マネージャーを育成するコースはそのひとつだろう。
一般的に職業に直結した技能教育を受けられる専門学校は卒業後、即戦力として働きやすい反面、就活の的が絞られるため進学前に将来の職業選択を明確にしておくことが大切とされているが、芸能マネージャーは多くの人にとって馴染みも薄い上、“裏方”とも言える仕事。
だが業界自体がクローズドで、新卒向けの求人を出さない事務所も多く、大手事務所の選考ともなると倍率は100倍になることもあるようだ(参考:芸能マネージャー求人ナビ)。
学生たちはなぜ芸能マネージャーを目指し、どのような授業が行われているのか、実際に芸能マネージャーを育成する専門学校を取材した。
芸能マネージャーの仕事というと、タレントのスケジュール管理や送迎などがまずは思い浮かぶが、実はその業務は多岐に及び、PR戦略や営業などにも深く関わるほか、イベントやライブでは企画から運営まで取り仕切ることもあるという。今回取材に訪れた「東京スクールオブミュージック専門学校マネージャーコース」では、その幅広いマネジメントビジネスを学べる。
取材で参加させてもらった授業では、2日前に行われたという自主企画のアイドルイベントの振り返りと、現地で自分たちが何にいくら掛かったのかイベント後の収支を出す精算作業を行なっていた。
「今回は急遽自主企画を開催することになったので、ブッキングが一番大変でした。出演者が全然決まらなくて、3日前くらいまでオファー出して、出演条件など調整していたので」とは、2年生の福島出身の女子生徒(20歳)。彼女は芸能マネージャーを目指したきっかけをこう語る。
「もともと地下アイドルが好きで、一時期追っかけみたいなこともしていたこともあるんですけど、地下の現場は裏方さんとも距離感が近くて、マネージャーさんと直接話すタイミングとか結構あるんです。そこで一生懸命なマネージャーさんの姿を見ているうちに、こういう仕事もいいなと思うようになりました」
音楽業界関係の専門学校の生徒というと、“キャピキャピ”した生徒が多くて賑やかなイメージもあったが、マネージャーコースは同校の中でも少し雰囲気が異なるようで、生徒たちの落ち着いた語り口が印象的だ。
授業は1年次にはパソコンの基礎知識や舞台知識、英会話などもあるが、基本はミーティングや研修がメインで、学生がチームごとに分かれてアーティストの宣伝プランの話し合いやイベントの企画会議などを重ね、講師の先生にプレゼンして、実行していくというのが大まかな流れのよう。
「学校のイベントで外の現場に初めて行かせてもらった時は、裏はこんなバタバタしているのかとびっくりしました。お客さんの立場で行くのとはあまりに違ったので。結構、タイトな研修現場も多くて雰囲気がピリついていることもあります。今も現場では怒られまくりですし、頑張って考えた企画が講師の先生にダメ出しされることもしょっちゅう。なので、だいたいいつも心折れています(笑)。でももう慣れたというか、基本的に一晩寝たら忘れちゃいます!」(同女子生徒)
企業のOJT研修と遜色ない実践的な授業内容がうかがえる。そうした授業や研修は最終的なリスクや責任を担保された学生のうちに、実務経験を積める貴重な機会と言える。
地下アイドル好きがきっかけでマネージャー志望に
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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