社会に合わせるのがしんどい…と思うのは発達障害特有の「こだわりの強さ」が原因!?
光武「夏目漱石の著作に『行人』という作品があるんです。この中にコーラン一部が挿入されているんですけど、そこにこういう話があります。ムハンマドが群衆に向かって山を呼び寄せるという話なんですね。ここでの【山】は【社会】と考えてみてください。いくらムハンマドが【山】、すなわち【社会】を呼び寄せようとしても【社会】はなかなか動いてくれません。
そこでムハンマドは機転を利かせて、“山は動きたくないと言っているから、こちらが山に向かっていくより仕方がない”と群衆を引き連れて山に向かっていくんです。僕らの社会も一緒かなって思うんです。社会が動いてくれないならこちらから社会の側に近づいていくしかない。そのなかで社会の方も緩やかにだけど変わるものなのかなって思います」
楠田「私ちょっと焦っていたのかもしれないですね」
光武「そういう時はゆっくりハイボールでもどうですか?(笑)」
楠田「そうしま~す」
ウチのお客様と話をしていると、「社会はこうあるべきだ」って決めつけてしまう思考のために、現実とのギャップが生まれ、苦しんでいらっしゃる楠田さんのような方が多いと気づかされます。ガチガチになってしまった思考からは、過激な言動も生まれやすく、結果、周囲とのコミュニケーション上のトラブルも起きやすくなってしまいます。そういう時は、ちょっと頭をリセットするためにも良かったらウチに遊びにいらしてください。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。
*お客側の登場人物はプライバシーの問題から情報を脚色して掲載しています。
<文/光武克 構成/姫野桂 撮影/渡辺秀之>

―[発達障害BARにようこそ]―
(みつたけ・すぐる) 発達障害バー「The BRATs(ブラッツ)」のマスター。昼間は予備校のフリー講師として働く傍ら、‘17年、高田馬場に同店をオープン。’18年6月からは渋谷に移転して営業中。発達障害に関する講演やトークショーにも出演する。店舗HP(brats.shopinfo.jp) ツイッターアカウント「@bar_brats」
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