辞め癖がついてしまった
だが、飯島さんに対する彼女の態度も以前とは違っていたという。

「私が『これでまた毎日会えるじゃん』って言ったとき、表情からちょっと引いているのが分かりました。それからもしばらく付き合っていましたが、その年の夏の終わりに『好きな人ができた』と別れを告げられました。彼女のために地元に戻ってきたのにその彼女を失ってしまった。最初から彼女がいなければホームシックになっても我慢していたと思いますが、おかげでホテルを辞めた意味がなくなってしまいました」
そう漏らす飯島さんだが、一方で彼女が自分から離れていった気持ちも理解できるという。
「精神的にすごく彼女に依存していたのだと思います。別れた後、共通の友人から『私のせいで仕事を辞めたように感じて辛い』と言っていたそうで、すぐ会社を辞めたことが結果的に彼女を追い詰めてしまったのかもしれません」
また、辞め癖がついてしまったのか、それからも職を転々と変えて、これまでに7度の転職を経験。もっとも長い現在のビジネスホテルでさえ、働き始めてからまだ4年だ。
「新卒で働き始めた就職先をすぐに辞めたことで、辞職に対する抵抗がなくなった気がします。さすがにマズいと思って、今は我慢しながら働いていますけどね」
最初の職場をすぐに辞めて、それからも転職を繰り返す。辞めた理由はともあれ、そんな人は思っている以上に多いのかもしれない。<TEXT/トシタカマサ>
― シリーズ・モンスター新入社員録 ―
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。