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期待の新人が入社3か月で退職。上司にも退職理由を言わないのはアリか?

 仕事内容や職場の人間関係、給料などの待遇面に問題がなくても、会社を辞めるときはスパッと辞めてしまうもの。しかも、理由を告げずに退職する人もいるため、周りの上司や同僚はモヤモヤすることもあるようだ。  チェーン系スーパーで店長を務める岡浩一郎さん(仮名・38歳)も5年前、入社3か月目に部下に辞められてしまった経験を持つ。

うまくいってる新人が、いきなり退職届

モンスター新入社員

写真はイメージです(以下同じ)

「まだ副店長だったころの話ですが、T君という大卒の新人1名がウチの店舗に配属されたんです。私が彼の面倒を見ることになったのですが物覚えも早く、接客業のアルバイト経験がないと話していた割にはお客様の対応もそつなくこなしていました。しかも、積極的にほかの従業員にも話しかけ、パートの女性やアルバイトの高校生からも人気の存在でした」  これだけ聞くと、新社会人として上々の好スタートを切った模様だ。そのT君が、いきなり退職を申し出ることが想像外の事態だったようで、岡さんもT君から退職届を渡された瞬間、何が起きたか理解できなかったという。 「まだ6月上旬で入社して2か月ちょっとしか経っていませんでしたからね。バイトだとすぐ辞めちゃうこともありますが、同じ店で働く正社員がこんな短期間で辞めようとしたのは私にとって初めての経験でした。彼は申し訳なさそうに『副店長には本当によくしてもらったのにスミマセン……』と何度も謝っていましたが、理由を尋ねても一身上の都合としか答えず、退職届にも詳しい理由については書かれていませんでした」

退職理由を伝える義務はない

 法律的には、社員が辞める理由を明かす義務はなく、「一身上の都合」でもかまわない。正社員(期間の定めのない雇用契約)は、いつでも解約(退職)の申し入れをすることができ(民法627条1項)、その理由を伝える必要はないのだ。  だが、上司である岡さんとしては「わかった」とすんなり認めるわけにはいかなかった。 モンスター新入社員 「退職届の受け取りを拒否することは出来ないため、こちらで預かるけど店長の判断を仰がなければいけないから待ってほしいと伝え、時間的な猶予をもらいました。店長に報告すると、『本人に直接聞いてみるよ』と言われたので、翌日の営業終了後、店長と私、T君の3人で話し合いの場を持ちました」  店長はこれまでのT君の働きぶりを評価。そのうえで店に必要な人材であることを話すが、彼の気持ちを変えることはできずに慰留を断念した。  最終的には退職届を受理せざるを得ず、6月末で退職することが決まったが、問題はその理由。店長が何度尋ねても、かたくなに言おうとはしなかったそうだ。 「それで私が『会社に新入社員が2か月強で辞める理由を報告する必要がある。事情があるのは分かったが、こちらがそれを会社に説明できないと我々の責任問題にもなる。そこを理解してほしい』とT君に説明し、それでようやく辞める理由を話してくれたんです」
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