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「やっと発達障害の診断をもらえた」3つの病院を渡り歩いた男

 仕事や家庭などさまざまな場面で感じる「生きづらさ」が日本人に蔓延している。30~55歳までの男女2000人を対象にしたアンケート調査でも64.5%の人が生きづらいと感じている現代社会。もはや国民病とも言える、その病理に迫る!
[生きづらい病]の正体

村石拓郎さん(仮名・40歳)障害者手帳を取得して2年になるが、幼少期から「人とは違う」感覚があった程度で発達障害を疑うことはこれまでなかったという

グレーゾーンだったものの障害者としての道を選択

 生まれ持っての“脳の発達のアンバランスさ”によって生じる発達障害。世間での認知度が高まったことで自分の生きづらさの正体が判明した人が増えた一方、いまだ「発達障害」という診断が出ず、苦しみを抱えたままの人が多いのも実情だ。  そんな中、複数の精神科を受診することで発達障害の診断が下りたケースがある。村石拓郎さん(仮名・40歳)が昨年ADHDの診断を受けたのは、3つ目に通ったクリニックでのことだった。 ===== ADHD(注意欠陥・多動性障害) ・人の話に集中できずによそ見や聞き逃しをする ・長期的な仕事が不得意で、なかなか業務を始めない ・仕事でケアレスミスや忘れ物が多い ・時間の管理が苦手 ===== 「僕は昔から遅刻癖が直らなかったんです。目覚ましを毎日6つセットしていましたが、それでも間に合わず遅刻する。遅刻に限らず時間の管理が苦手で、順序立てて仕事を遂行しようとすると、どこかでボロが出ていました。  好きだった音楽業界に就職できたものの、配属先はよりによってアーティストのマネジメント業務を担当する部署。出演のダブルブッキング、イベント会場の押さえ忘れなどをやらかし、わずか2か月で仕事を破綻させてしまいました」  その後内勤の部署に異動するも、多動性も強く机にじっとしていられなかった村石さん。何度も席を立つ姿を同僚から白い目で見られ、職場では孤立を余儀なくされた。 「自覚はあるけど、衝動が押さえられない。でも自覚があるぶん罪悪感も感じていたので成果を上げようともがいたんですが、空回りして失敗するばかり。劣等感だけが膨れ上がり、自殺を考えてしまうときもありました」

発達障害の診断が出たことにホッとする

 結果、村石さんはうつを発症。休職するのも忍びないと感じ、みずから退職を申し出た。治療のために通った精神科でADHDの傾向を指摘されたものの、診断が下りるレベルではなかったという。 「診断が下りないことには今後どこへ行っても同じことの繰り返しだろうと、半ば意地になってほかの精神科も受診。3つ目の病院でADHDの診断が下り、職業訓練を受けた後に障害者雇用枠で現在の食品加工工場に再就職しました」  ADHD用の投薬治療を続けながら一般雇用で再就職する方法も考えたというが、「発達障害でない社員と同等の成果を求められても応えられる自信がもうない」と現在の道を選んだという。 「ADHD用の薬の効果もあり、現在の職場では一般雇用の社員とともに働きながら働きぶりが認められ、4月には部門をひとつ任せてもらえるようになりました。今では発達障害の診断が出たことにホッとする気持ちしかありません」  生きづらさの原因がわかれば、その対策もおのずと見えてくる。生きづらさを解消したいならいち早くその原因に気づくべきだ。 ― [生きづらい病]の正体 ―
発達障害グレーゾーン

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