大手企業からベンチャーに転職したら…プライドが邪魔した転落人生
ところが約4年後、会社は倒産。Tさんは帰国し、新しい就職先を探すことになる。
「本社があるシンガポール、僕の担当したマレーシア以外にもいくつかの国で展開していたのですが、どこもエンジニアとの意思疎通が困難。修理を依頼しても直してくれない、納期は守らない、機材持ち逃げ……。経年劣化のサイクルを読み切れず、一気にトラブルが噴出してしまったのも痛かった」
幸い、赴任中に得た人脈のおかげで再就職はすんなりできた。ただし、契約社員として。
「旅行代理店です。決して規模は大きくありませんし、給料も大幅ダウン。それでも語学がいかせますし、納得するしかないですね」
しかし、海外赴任を受け入れるべきだったと後悔はしている。以前の会社の仲間とは今も連絡を取っているからだ。
「上海赴任した同期は、現地で結婚し、美しい奥さんと一男一女を連れて帰国。今や課長クラスで、異例のスピード出世だそう。都内にマンションを買い、車はアウディ。もし、自分が受けていたら……と、少し考えてしまいます。僕なんて今の財政状況では、住宅ローンなんて到底無理。車は明らかに贅沢品でしょう。たとえ彼女がいても結婚が望めるとも思えませんから」<取材・文/金井幸男>編集プロダクション勤務を経て、2002年にフリーランスとして独立。GETON!(学習研究社)、ストリートJACK(KK ベストセラーズ)、スマート(宝島社)、411、GOOUT、THE DAY(すべて三栄書房)など、ファッション誌を中心に活動する。また、紙媒体だけでなくOCEANSウェブやDiyer(s)をはじめとするWEBマガジンも担当。その他、ペットや美容、グルメ、スポーツ、カルチャーといった多ジャンルに携わり、メディア問わず寄稿している。
契約社員として再就職、給料は大幅ダウン
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