昼マラソンは美人OLがモチベーションに!?
松:未経験者をマラソンにハマらせる方法ってありますかね? 僕は完全にロールプレイング的な感覚でハマったんですよ。ドラクエなんだと思って。レベルを上げて走れる距離を伸ばして行って、ついにレインボーブリッジという中ボスを倒しにいくぞ、と。
猫:初めての街を走る観光ランだったり、新しい道を発見したりするのは楽しいですよね。たまに不審者に間違われますけどね(笑)。
松:この間、目黒区の自宅からいけるところを全部走ったと思ったら、高田純次さんが『じゅん散歩』(テレビ朝日系列)で知らない道を歩いているのを観て……すぐに走りに行きましたね(笑)。
猫:わかります。近所で走っていてもまだまだ知らない道があって、そこにいいお店を見つけて、あとで嫁と一緒に行くとか。
松:いい話じゃないですか。僕がよくやるのは、まず家で夜な夜なグーグルマップでコースを決めるんですよ。どこ行こうって決めて、例えば、東京ゲートブリッジと葛西臨海公園を目的地に設定して。東京ゲートブリッジは渡れるけど降りられないんだとか、羽田空港は歩いていけるんだとか。マラソンをしていると、東京の開発の今がわかる(笑)。
松久氏が夜な夜な作成している「エアラン」のコース。自分のレベル(走力)を考慮しながら、中ボス(目的地)を倒しに行くイメージでコースを設定しているときが至福のときなのだとか
猫:僕は目的地だけ決めて走ることがあるので、よく道に迷うんです。だから、交番のおまわりさんとよく仲良くなりますね。この前の「北千住駅ってどこですか?」って聞いたら、「南千住じゃダメ?」って言われて(笑)。走っていきたいのに、電車での行き方を教えてくれるんですよ。でも、あっ、猫ひろしだってわかったら、親切に道を教えてくれます。
松:土地勘のない大田区の街中を走ってたら、どこだかわからなくなって、コンビニの店員さんに「ここどこですか?」って聞いたら怪訝な顔されました(笑)。「だいたいの方角でいいんで、目黒ってどっちですか?」って、そりゃ怪しいですよね。でも、それが楽しい。
猫:あと東京だと知り合いによく会いますね。走ってる松久さんとか(笑)。
松:恵比寿のガーデンプレイス前でばったり会いましたもんね(笑)。テレビで観ているタレントさんとかもよく見かけますよ。ああ、ここは吉本の芸人さんがよく集まるエリアなんだなあとかがよくわかる(笑)。
猫:僕なんて、この前、大物俳優さんがマンションから出てきたの観て「ここが自宅なんだなあ」って知りました(笑)
松:僕なんて、自分が好きだった元AV女優さんとお笑い芸人が歩いてて、あの人結婚してるよなあ、と。一人文春砲気分です(笑)
猫:僕なんて……
松:これ以上エスカレートすると書けないのでやめませんか(笑)。
猫:とにかく街中で走っているといろいろな出会いがある。走るのが早い女性ランナーが前にいたら、顔が見たくなることありません?
松:そりゃそうですよ。
猫:男性ランナーの方ってみんな観てますよね(笑)。でも、あれを客観的に見る機会があって……振り返っている男の人を見たら、僕もそうだったんだって恥ずかしくなって。
松:だから、僕はめっちゃ横目ですね。もしくは、あえて素通りして「俺は、あんな美女を見ずに通り過ぎてやったぜ」って一人でしたり顔で楽しむこともあります(笑)。僕は昼間走ることが多いので、働くOLさんを見るのはモチベーションになりますね。赤坂や品川はいいですねー。どこかは言えないですけど、「ここは可愛い人、見かけないな」ってところもあります(笑)。
猫:マラソンのモチベーションは人それぞれですよね。よくマラソンの魅力とは? って聞かれるんですが、やっぱり実際に走ってみるしかないなって思うんです。
松:元手ゼロで走れますからね。
猫:それでダメだったらやめればいいし、続けられそうだったらやればいい。
松:気軽にできるのがマラソンの魅力かもしれませんね。
(構成/日刊SPA!編集部 撮影/山川修司)
【猫ひろし氏】
‘77年、千葉県生まれ。お笑いタレントながらマラソン選手としてオリンピックに出場するためカンボジア国籍を取得。’16年にはリオ五輪にカンボジア代表で出場。’20年の東京五輪への出場も目指す
【松久 淳氏】
‘68年、東京都生まれ。作家。数多くの著書があるなか、Tarzanの人気連載を書籍化した最新刊『
走る奴なんて馬鹿だと思ってた』(山と渓谷社)を発売。フルマラソンのベストタイムは4時間3分16秒