エンタメ

初めての時代劇演出と中村雅俊さんのこと/鴻上尚史

中村雅俊

プレスリリースより

初めての時代劇演出と雅俊さんのこと

 現在、おいらは「中村雅俊デビュー45周年記念 明治座『勝小吉伝~ああ わが人生 最良の今日~』」という作品の演出をしております。  なんと初めての時代劇、初めての明治座です。  もともと、去年、『ローリング・ソング』という音楽劇を上演するために、中村雅俊さんに出演依頼をした時のことです。 『ローリング・ソング』の出演者は、20代に中山優馬さん、40代に松岡充さんと決まって、60代の代表としてぜひ中村雅俊さんに出演してもらいたいと考えたのです。三世代の葛藤がテーマでしたからね。  雅俊さんと一心同体のチーフマネージャー、黒澤さんが「おお。それはそれはありがとうございます」と言って下さいました。  僕はその反応にホッとしたのですが、黒澤さんは、すぐに「来年、明治座で中村のデビュー45周年記念公演があるんですよ。演出、引き受けてくれませんかねえ」と僕の顔を見ました。 「あの、来年の前に今年の『ローリング・ソング』の出演はどうでしょうか?」と問い返すと、「おお。それはそれはありがとうございます。ところで、来年、明治座で中村の記念公演があるんですよ。演出、引き受けてくれませんか?」と、再び、僕の顔を見ました。 「はあ。あの、来年の前に今年の『ローリング・ソング』はどうですか?」と再び問い返すと、「おお。それはそれはありがとうございます。で、来年の記念公演の演出なんですよ」と黒澤さんは僕を見つめました。  有能なマネージャーという人達は、どこか同じ匂いがします。気がつくと、仕事を引き受けている、という状態になるのです。  もちろん、中村雅俊さんが大好きだから、僕は引き受けたのです。  雅俊さんは、太陽のような人で、「スターとはこういう人のことを言うんだなあ」と僕は思っています。
次のページ right-delta
雅俊さんが微笑むとみんなが微笑む
1
2
ドン・キホーテ走る

『週刊SPA!』(扶桑社)好評連載コラム「ドン・キホーテのピアス」待望の単行本化 第18弾!

テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート
ハッシュタグ