更新日:2019年08月21日 17:17
お金

「楽天」に未来はあるか?もはや通販の会社ではない/馬渕磨理子

「あの企業の意外なミライ」を株価と業績から読み解く。滋賀県出身、上京2年目、犬より猫派、好きな言葉は「論より証拠」のフィスコ企業リサーチレポーター・馬渕磨理子です。  私はこれまで、上場銘柄のアナリストとしてさまざまな企業の業績予測、市況予測を行ってきました。また、自身で株式投資を5年以上に渡って行い、市場に向き合ってきました。本企画では、そんなリサーチャーである私馬渕の視点からみなさまに「あの企業の意外な情報」をお届けます。
楽天

※公式サイトより

楽天って、ホントはなんの会社?

 今回取り上げるのは、「楽天市場」「楽天トラベル」でおなじみの楽天<4755>の財務分析です。楽天創業時のビジネスモデルは、「ネットでモノが買えるショッピングモール」を手がける会社でした。  インターネット上で物品を販売できるサイト「楽天市場」に出店してくれる店舗を集めるために社員は全国を飛び回り、1997年の楽天市場開設時の出店店舗は13店舗。売上高は32万円からのスタートでした。(出典:楽天ブログ 楽天の創業秘話)  それから22年。  現在、楽天は「インターネット」、「フィンテック」、「モバイル」の3つのセグメントにまで事業を拡大。2004年にはプロ野球参入を果たしたほか、最近では、国内のフリマアプリ大手の「Fril(フリル)」の買収、携帯キャリア事業への参入など、貪欲なまでに成長を続けている企業です。  そんな楽天の財務状況はどのようになっているのでしょうか? その本質を、楽天の財務諸表に注目して3分ほどで説明していきます。

現在の楽天は“金融の会社”

 同社の損益計算書(略して“PL”= profit and loss statement)を見てみましょう。PLとは、簡単に言えば企業に「出てくるお金」と「入ってくるお金」を示したグラフのこと。  楽天の事業別の売上高を分解してみます。 楽天【インターネット事業】、【フィンテック事業】、【モバイル事業】の3つあるメイン事業のなかで、インターネット事業(楽天市場に代表される国内EC事業)は54.9%の売上高を占め、次にフィンテック事業が36.9%を占めています。 楽天事実、フィンテック事業の営業利益は… 2017年720億円 ↓ 2018年790億円(+70億円) インターネット事業の主力である国内EC事業の営業利益は… 2017年740億円 ↓ 2018年610億円(−130億円)  となっており、2018年度は、営業利益でフィンテック事業がEC事業の利益を上回っています。つまり、現在の楽天は“金融の会社”であることが、PL分析をすることで見えてきました。
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楽天が“金融の会社”であるもう一つの根拠
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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