「あの企業の意外なミライ」を株価と業績から読み解く。滋賀県出身、上京2年目、犬より猫派、好きな言葉は「論より証拠」のフィスコ企業リサーチレポーター・馬渕磨理子です。
私はこれまで、上場銘柄のアナリストとしてさまざまな企業の業績予測、市況予測を行ってきました。また、自身で株式投資を5年以上に渡って行い、市場に向き合ってきました。本企画では、そんなリサーチャーである私馬渕の視点からみなさまに「あの企業の意外な情報」をお届けます。

※公式サイトより
楽天って、ホントはなんの会社?
今回取り上げるのは、「楽天市場」「楽天トラベル」でおなじみの楽天<4755>の財務分析です。楽天創業時のビジネスモデルは、「ネットでモノが買えるショッピングモール」を手がける会社でした。
インターネット上で物品を販売できるサイト「楽天市場」に出店してくれる店舗を集めるために社員は全国を飛び回り、1997年の楽天市場開設時の出店店舗は13店舗。売上高は32万円からのスタートでした。(出典:楽天ブログ 楽天の創業秘話)
それから22年。
現在、楽天は「インターネット」、「フィンテック」、「モバイル」の3つのセグメントにまで事業を拡大。2004年にはプロ野球参入を果たしたほか、最近では、国内のフリマアプリ大手の「Fril(フリル)」の買収、携帯キャリア事業への参入など、貪欲なまでに成長を続けている企業です。
そんな楽天の財務状況はどのようになっているのでしょうか? その本質を、楽天の財務諸表に注目して3分ほどで説明していきます。
同社の損益計算書(略して“PL”= profit and loss statement)を見てみましょう。PLとは、簡単に言えば企業に「出てくるお金」と「入ってくるお金」を示したグラフのこと。
楽天の事業別の売上高を分解してみます。

【インターネット事業】、【フィンテック事業】、【モバイル事業】の3つあるメイン事業のなかで、インターネット事業(楽天市場に代表される国内EC事業)は54.9%の売上高を占め、次にフィンテック事業が36.9%を占めています。

事実、フィンテック事業の営業利益は…
2017年720億円
↓
2018年790億円(+70億円)
インターネット事業の主力である国内EC事業の営業利益は…
2017年740億円
↓
2018年610億円(−130億円)
となっており、2018年度は、営業利益でフィンテック事業がEC事業の利益を上回っています。つまり、現在の楽天は“金融の会社”であることが、PL分析をすることで見えてきました。