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「楽天」に未来はあるか?もはや通販の会社ではない/馬渕磨理子

この数年、楽天で増えてる「のれん」ってなんだ?

 最後に、そんな楽天のここ数年の株価事情をお伝えします。2015年~2016年の楽天は、積極的に企業買収を進めてきました。  楽天のような大手企業が会社を買う理由はさまざまですが、一般的には、成長可能性があるにもかかわらず、自分たちで新規参入するのが難しいケースや、自社にはない強み(海外で展開、専門性ある商品)を持っているときに、買収に踏み切るケースが多いようです。  他には、ライバル企業を仲間にしたいときに買収を進めるというケースもあります。  いわば、大手企業にとっての買収は「一気に攻め込むためのタイムマシーン」。各駅停車でも行けるけど、新幹線を使えばお金はかかるけど早く目的地に着きますよね。  しかし、その企業買収は株主にとってリスクを背中合わせと受け取られ、株価も売られる展開が続きました。  事実、買収を積極的に進めていた2016年度四半期目の楽天の決算は、純利益が55億円と赤字に転落しています。  その時に財務諸表上に計上されるものが「のれん」です。 「のれん」って、なんのことかわかりますか?  簡単に言えば、企業の買収金額と純資産評価額の差額のこと。これは、財務諸表上では資産の位置に入ります。 「のれん」は、企業を買収したときに発生します。純資産200億円の会社を500億円で買収すると、差額の300億円が「のれん」として、貸借対照表に計上されます。 「のれん」は、買収対象会社のブランド価値です。つまり、300億円分だけ、買収対象会社にはブランド価値があるということになります。  2013年から2018年度までの楽天の財務諸表から「のれん」の推移を見てみます。 楽天 楽天有価証券報告書より作成。のれんは、企業買収時の取得原価から、減損損失累計額を除いて測定 【楽天ののれんの推移】 2013年 1078億円 2014年 1422億円 2015年 3636億円 2016年 3694億円 2017年 3584億円 2018年 3568億円  のれんの額が年々増加しているのがひと目でわかりますよね。  この「のれん」、買収した事業がうまくいっていない場合は、PLに減損処理(減損処理とは、M&Aの効果が想定よりも得られない時に行います)を計上しなければならないのです。 楽天 しかし、その後の楽天の業績は順調に回復しています。  2017年度一期目には純利益を黒字に戻し、減損損失計上の額も2017年時点では、ほぼなくなったことから利益を押し上げています。「のれん」の額は年々増加していますが、減損損失は抑えられているのです。  ここから先は、買収事業と、既存の事業とのシナジーが強化されことによる快進撃が期待されます。具体的に言えば、好調な楽天証券や楽天銀行と、買収したフリマアプリ「フリル」とのお金の連携はすぐに思い浮かぶでしょう。  PLとBSを見るだけで、ここまで企業のイメージは変わるもの。  経営者の資質のみに着目するのでもなく、PLとBSという無機質なグラフだけとにらめっこするのでもなく、その両者を観察することで「気になる企業の未来」はクリアになっていくのです。 日本テクニカルアナリスト、(株)フィスコ企業リサーチレポーター。日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでマーケティングを行う。Twitter@marikomabuchi
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