更新日:2019年08月21日 17:17
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マクドナルドが大赤字からV字回復できた最大の理由/馬渕磨理子

「あの企業の意外なミライ」を株価と業績から読み解く。滋賀県出身、上京2年目、犬より猫派、好きな言葉は「論より証拠」のフィスコ企業リサーチレポーター・馬渕磨理子です。  私はこれまで、上場銘柄のアナリストとしてさまざまな企業の業績予測、市況予測を行ってきました。また、自身で株式投資を5年以上に渡って行い、市場に向き合ってきました。本企画では、そんなリサーチャーである私馬渕の視点からみなさまに「あの企業の意外な情報」をお届けます。

“不祥事=マクドナルド”は過去のもの

 今回取り上げるのは、日本マクドナルド<2702>の財務分析です。  マクドナルドといえば、少し前までは不祥事や大規模な店舗閉鎖など、“不調”のイメージが強い企業だったのではないでしょうか。  2014年7月に、中国の工場で期限切れの鶏肉の使用問題が発覚し、信頼を大きく失った日本マクドナルド。事実、2014年、2015年は営業損失赤字に転落し、14年~15年の損失は567億円となりました。  そんなマクドナルドですが、その後たった2年で黒字化に成功。2018年12月には営業利益250億円を計上するまでにV字回復しているのです。どのようにして、マクドナルドはこのV字回復を成功させたのでしょうか。  新メニューの開発? 「夜マック」を始めたから? 赤字店舗を閉鎖したから? メニューの新名称の公募でバズったから?  どれも正解かもしれませんが、それよりもっと大事なことがありました。その答えを、マクドナルドの財務諸表に注目して3分ほどで説明していきます。  ヒントは、“開業医”の成功戦略です。

2年で600億以上の増収

 まず、マクドナルドの損益計算書(略して“PL”=profit and loss statement)を見てみましょう。PLとは、簡単に言えば企業に「出てくるお金」と「入ってくるお金」を示したグラフのこと。  マクドナルドのPLを見てみると、売上高は… 2013年…約2604億円 ↓ 2015年…約1894億円(-710億円) ↓ 2017年…約2536億円(+642億円)  営業利益は… 2013年…約115億円 ↓ 2015年…約-234億円(-349億円) ↓ 2017年…約189億円(+423億円)  となっており、わずか2年で600億以上の増収、400億円以上の増益となっています。  ちなみに不祥事発覚前のマクドナルドはの閉店店舗数は2012~2013年で約300店舗でしたが、2014~2015年の合計は約260店舗と、減少傾向にあります。  さらに、2015年以降毎年改装を行ってきた店舗は500店舗近くあります。現在の同社は攻めの経営をしていることがわかります。
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V字回復、最大の理由は…
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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