マクドナルドが大赤字からV字回復できた最大の理由/馬渕磨理子
最後に、「財務活動によるキャッシュフロー」を見てみましょう。
こちらがマイナスだと、負債を減らしてお金を返しているため、現金が潤沢であることを示します。
開業医ならば、クリニックを建てたときにかかった建設費や設備費を毎月売上で返している状態です。
一方、こちらがプラスだと、銀行からお金を借りたり、株式を発行して現金を得ている状態を示します。
マクドナルドの財務活動によるキャッシュフローは以下のように推移しています。
【マクドナルドの財務活動によるキャッシュフロー】
2015年…約196億円
↓
2017年…約-148億円
2年で「財務活動によるキャッシュフロー」はマイナスに転換しており、財務状態が健全化されたことがわかります。
開業医の例で言えば、銀行などから借金せずに、日々の診療費でしっかりクリニックを建てたときにかかったお金を返済しているのです。
つまり、マクドナルドは安定した収入がある開業医であり、病院を継いでもらうために息子も塾に通わせている“代々医師の家系”といえば理解しやすいかもしれません。
PLとBSを見るだけで、ここまで企業のイメージは変わるもの。
経営者の資質のみに着目するのでもなく、PLとBSという無機質なグラフだけとにらめっこするのでもなく、その両者を観察することで「気になる企業の未来」はクリアになっていくのです。経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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