更新日:2019年08月26日 15:19
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上昇中の高級腕時計相場でロレックスが値下がり傾向。その理由は?

下落しているロレックスのモデルは?

 現在の腕時計の下落傾向は、個人や業界人を問わず、腕時計ファンの間では注目度の高い話題となっているといえますが、漠然と「全体的な下落傾向」と思っているかたが多いように感じます。  しかし、私としては今回の下落傾向は一部モデルについて起こっていると思っており、まだ全体的な下落傾向とはなっていないと感じているのです。  その根拠としては、以下のモデルの相場を見ればわかるのですが、それらモデルの値動きはいずれも共通したグラフになっているといえるわけです。

数十~数百個単位の116610LVを対象とした平均値のグラフ。2019年3月頃から8月現在まで「山」のような曲線を描いている

 ロレックスサブマリーナの116610LVというモデルは、通称「緑サブ」と呼ばれるモデルで、現代における大人気モデルだといえます。正規店で購入できる可能性は低いため、数年前から中古相場でも定価を上回る状況となっているほど。そんな116610LVですが、高いと感じた過去価格よりも、さらに高くなるという値動きをここ数年繰り返しており、特に2019年にはいってからは、その上昇がさらに派手になっていたといえます。  グラフを見ると、3月頃から急激に上昇していることがわかりますが、6月下旬頃からは下落傾向に転じ、8月現在の水準は4月時点と同程度。ピークは6月上旬だったことが分かります。  興味深いのは、現在下落傾向となっているモデルの多くが同じような相場曲線を描いている点です。

腕時計投資.com相場では、数千モデルの相場を見ることができる。ロレックスの現行人気モデルでは、同じような「山」のグラフを描くモデルが多かった

 サブマリーナ(116610LN、116610LV)、GMTマスター2(116710BLNR、116710LN)、デイトナ(116500LN)、シードゥエラー(126600)などは、ほぼ同じような山となっているわけですが、それらは、「比較的新しいモデル(現行世代)」「人気が高い」という要素が共通するといえます。  けれどもその一方で、旧世代に該当するロレックスは、同じ「人気」という要素なモデルでも、未だ下落傾向とはなっていないのです。

ロレックスデイトナ116520の中古平均値、過去1年の相場

 ロレックスの116520は、2000年から2016年までラインナップされたデイトナで、現行当時は、人気が高いことから「腕時計の王様」と呼ばれたほどのモデル。そんな116520も2019年3月以降、目立った上昇傾向となっているわけなのですが、現行世代とは異なり、6月下旬以降も下落傾向とはなっていない様子なのです。  実際、旧世代に該当するモデルは、パテックフィリップなどでも、現在値上がり傾向となっているモデルが複数あります。  また、モデル全体の値動きを見ると、GMTマスター2とサブマリーナが「山」なグラフになっている一方で、デイトナは異なる動きとなっています。

モデル全体の値動き

 そしてロレックス全体を見てみると、やはり、上昇から下落といった「山グラフ」とはなっていないことがわかります。

ロレックス全体の相場。10000以上の中古腕時計を対象とした平均値1年の動き

 以上のことから、現在下落傾向となっているのは、一部モデルに限られるといえるのです。  知名度の高いモデルが値下がり傾向となっているため、全体的に値上がりと感じてしまうところですが、マクロな視点ではまだ下落トレンドとはなっていないと感じるわけです。
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一部モデルが下落した理由
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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