更新日:2023年04月18日 11:08
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おっさん悩み相談室、始めます~タピオカの列に並びたいおっさんはどうすればいい?~――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第57話>

若い女のコにモテたいけど、傷つきたくもない面倒くさいおっさんはどうすれば良いか

【Tさん(44歳)の相談】  40代半ばのおっさんです。先日、気になっている30代の子と飲みに行く機会があり、その子を口説きたかったのですが、おっさんの「説教・自慢話・昔話」は嫌われるという言葉が頭をよぎり、積極的には行けず進展はありませんでした。  おっさんは 女性をどんな話題でどんな風に口説けばいいのでしょうか?  これは悩ましい相談である。  基本的に相談主さんのような年齢になると、口説ける、口説けないは別として異性と対峙した場合に根本的な問題が生じる。それが「もはや傷つけない」という点だ。  例えばこれが10代20代の血気盛んな年代だった場合、まあ、傷つくこともある。時には泣いて月を見上げた夜もあるだろう。そういった経験が年輪のように刻まれてその人を形作っていくのだ。  しかし、40を超えると傷ついている場合じゃないという想いがまず出てくる。それはプライドという側面もあるかもしれないが、いまこの老いた心で若き頃の失恋を経験したら致命傷になる、と無意識下で理解しているのだ。  結果、おっさんは傷つかないようにする。明確な告白もしないし、なんなら恋に本気である姿勢を見せようとしない。脈がないことを認められず、面倒なおっさんになることもある。   それはか弱きおっさんが、そのか弱き心を自衛しようとしているからだ。  しかし本当はおっさんでも傷ついていいのだ。いや、むしろ傷つくべきだ。我々はもっと傷つく練習をしなくてはならないし、してくる必要 があった。  そこで登場するのがピンサロである。  ピンサロとは、いわゆる風俗店で、比較的安価で手頃な部類に入る種別だ。タピオカのストローのごとく何かを吸ってくれる。  そこでピンサロ嬢と交わす会話は非常に示唆に富んでいる。  現役バリバリのピンサロ嬢に鳥貴族で話を聞いたことがあるが、やはりピンサロは安価な風俗なので客層が良くないことがあるようだ。どうやら安い金で何とかしようとする猛者が大量発生するらしいのだ。  なんとか上手いこと誘いだして店以外でタピオカストロー吸ってもらおうと必死に口説いてくる客が少なくないようだ。ただ、タピオカストローを吸うだけなら楽なのに、そういう会話が本当に面倒だ、チンコだけ来店しないものかとも言っていた。  つまり、ピンサロ嬢は僕らを本当に傷つけてくれる。おっさんなんてよほどのロマンスグレーじゃない限り大体嫌われる。  傷つけられる。最初は愛想よくしているが、ちょっと踏み込み始めると途端に傷つけてくるはずだ。それこそが肝要なのだ。  僕らはあまりに傷ついてこなかった。そして畏れてきた。もっとピンサロで傷つけられるべきである。  そうすれば、おどけず、誤魔化さず、恋に対峙できるはずだ。おっさんはもっと傷ついていい。ピンサロにいけ。そして傷ついてこい。
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自分の墓の心配をする、部下と不倫中のおっさん
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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