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おっさん悩み相談室、始めます~タピオカの列に並びたいおっさんはどうすればいい?~――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第57話>

自分の墓の心配をする、部下と不倫中のおっさん

【Mさん(48歳)の相談】  墓をどうしようか悩んでます。48歳。関東在住。サラリーマン。配偶者有り。子供は高校生。年収500万。貯蓄100万。地方の実家の墓に入るワケにはいかず。とはいえ墓作るには金が無い。  とはいえ子供に面倒かけるワケにはとも思い今のうちに墓を作っておくかとも思う。一週間前に父が亡くなりその墓もどうしていいのかわからない。とはいえ会社の部下32歳と付き合っており金もかかる。最近、上手くいっていないし、部下35歳男性となんだか怪しい。  そんな中、自分の死に様を考える。個別に墓作りますか?合葬にしますか?そろそろ「死」について考えますね。  既婚者なのに部下32歳と付き合っているという、悩みに潜ませたプレイボーイ自慢が非常にいただけない。そういうとこだぞ、おっさんの悪いところ。  それにしても、「墓」の問題は非常に切実だ。そう、墓とはピンサロに似ている。  ピンサロとは、いわゆる風俗店で、比較的安価で手頃な部類に入る種別だ。タピオカのストローのごとく何かを吸ってくれる。  ピンサロ店は基本的に風俗店としてではなく、飲食店として許認可を取得している。そう言った事情もあって、区画を壁で仕切るような構造にはなっていない。あくまでもソファーが並んでいるだけで飲食店ですよ、という体裁だ。  目隠しも何もなく、ソファーで仕切られた区画が存在する。そしてその区画は分譲された墓にとてもよく似ている。墓にも仕切りはあるけどそこまで明確ではないところなど完全にピンサロだ。  さらにはピンサロにおいては、悪いことをしている客はいないかと、4分に一回の頻度で怖い顔をしたボーイが見回ってくる。これはいわば墓守だ。しっかりと墓を守ってくれている。  さらにいうと、飲食店という体裁なので、必ず飲み物が出てくる。コースターに乗ったウーロン茶だ。キンキンに冷えたグラスはいつの間にかすっかり汗をかいている。これは墓石だ。水をかけた墓石だ。  つまりピンサロとは墓と考えることができる。墓に行くと、ご先祖様に最近あったことを報告したりする。ピンサロでもピンサロ嬢に最近あったことを報告する。あのラーメンが美味かったとか。やはり、ピンサロと墓は似ている。  つまり、生きているうちから墓のことで悩むのは馬鹿らしいことなのだ。死んだ後のことなんてどうでもいい。  まさか墓の中で札束の数と勲章の数を数えるわけにはいかないだろう。それならば、足しげくピンサロに通って先祖の霊に感謝すべきである。僕らおっさんはピンサロでしか救われないのだ。  今回、ちょっとお悩み募集をしたところ、切実な悩みが3通という莫大な物量で届いた。これはもう社会現象である。  やはりおっさんは悩んでいるし、その悩みを吐き出す場所がないのだ。もしまた、4通くらいの悩みが編集部に届いたら、莫大な反響と判断し、しっかりと答えていきたいと思う。 ロゴ・イラスト/マミヤ狂四郎(@mamiyak46)
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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