更新日:2023年04月18日 11:20
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アマゾン大火災の“放火犯”は「ブラジルのトランプ」ボルソナロ大統領なのか?

火災をきっかけとした農業国同士の覇権争い

 火災を機にブラジルと欧州の対立は激化しており、欧州ではブラジル製素材の不買運動も起きているほどだ。竹下氏が続ける。 「今回の対立は、表向きは環境保護を巡る衝突とされているが、ブラジルもフランスも農業大国であることが背景にあり、この火災が政治利用されている可能性もあるのではないか。先日、ブラジルを含む南米4か国による関税同盟『メルコスール』(南米南部共同市場)が、EUとのFTA(自由貿易協定)の正式合意に至りましたが、農業大国のフランスはすでに国土の開発がかなり進み、大幅な生産増大は見込めないためこのFTAに乗り気ではなかった。  一方、ブラジルは開発途上で、ポテンシャルのある広大な農地を抱えており、欧州の農業国にとって脅威になるのは間違いない。今回の対立は、その実、農業国同士の覇権争いと言えるかもしれません」 アマゾン火災 ボルソナロ支持派と反対派の対立は、ブラジル国内でも泥沼バトルの様相を呈している。ボルソナロ大統領は、森林開発を阻もうとする環境保護団体による「犯行説」を訴えているものの、ブラジルの捜査当局はボルソナロ支持派60人がSNSを通じて一斉に火を放った可能性があるとして捜査に乗り出した。ボルソナロ大統領は8月24日、ようやく4万3000の軍隊を出動させ消火活動に当たらせているが、火災の沈静化はまだまだ先になりそうな気配だ……。前出の田中氏が話す。 「数ヘクタールにわたって一斉に火災が起きれば、人の手を使って消火できるものではない。一部、ヘリから消火剤を撒くエリアもあるが、焼け石に水です。ほとんどの消火活動は、燃えている森の周囲の木を切って、延焼を防ぐ破壊消防なので、なかなか鎮火に至らない。アマゾンに限らず、森林火災は発生したら手の打ちようがないのです……。鎮火は雨季が訪れる12月を待つしかないのではないか」  政治の混乱によって、これ以上アマゾンの大自然が壊されるのだけは避けてもらいたい。 取材・文/週刊SPA!編集部 写真/AP/アフロ ※9/3発売の週刊SPA!「今週の顔」より
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週刊SPA!9/10号(9/3発売)

表紙の人/ バチェラー・ジャパン

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