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おっさんは何故突然キレるのか。人に歴史あり、怒りに歴史あり――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第65話>

若者のとある仕草に突如ブチ切れた真田さん

 僕は町内会に所属しているのだけど、夏になると清掃活動が盛んに行われるようになる。休日の早朝から町内会メンバーで町内に繰り出し、雑草を引っこ抜いたり道路に捨てられたゴミを片付けたり、不法投棄のゴミを片付けたりする作業だ。夏は雑草も増えるしポイ捨てされるゴミも増えるのだ。  最初こそは暇そうな老人しかおらず、あとは自営業的なおっさんがちらほら、僕みたいなおっさんが一番若いんじゃないかという年齢構成だったが、最近になって若い人の参加が増えた。ハツラツとした好青年が数多く参加してくるようになったのだ。  僕が若い頃なんて、そういった活動に全く興味なかったのに、自分が住んでる場所っスから、綺麗にしたいっス、みたいな勢いで参加してくるので本当に見上げたものだと思った。ただ、その若い力の参画を快く思わないおっさんもいた。  真田さんは、大物のゴミを見つけてくるのが得意なおっさんだった。あまりに次々と大物を射止めるものだから、自分で不法投棄してるんじゃないかと自作自演を疑われるほど、そのハンティング能力は素晴らしかった。  そんな真田さんは清掃活動に参加する若者に対して「どうせすぐ投げ出すんだろう」と冷ややかな目を向けていた。  確かに、僕はおっさんになってから休みの日でも5時や6時に目が覚めてしまう。目が覚めてしまって暇だからこうして清掃活動に参加しているが、若い頃はとにかく寝たかった。休みの日は寝たかった。起きたらすでに土曜日の夕方で絶望、なんてザラだった。それを考えると若い人がこれに参加するのはなかなか厳しいものがある。  現に、春先にワーッと参加してきた若者のうち何人かは、数回で来なくなっていた。一番盛んに清掃が行われる夏にはほとんど見なくなっていた。けれども、その中でタカス君という若者だけは熱心に参加していた。  真田さんはそんなタカス君のことを気に入ったのか、かわいがり始めた。二人で熱心に清掃活動をするようになったのだ。いつも二人で大物のゴミを見つけてくる。あまりに大物なので二人して不法投棄してるんじゃないかと疑われるほどだった。  そんなある日、異変が起こった。  タカス君が大物のゴミを運びながら、さわやかな笑顔で「これどこに運んだらいいんですかね」と僕にたずねてきた。その週から不法投棄の粗大ごみは他のゴミと扱いが違うので、いったん町内会の物置き周辺に運ぶ取り決めに変わっていたので、確かに運ぶ場所が分かりにくかった。  「あ、あっちに置いといて、谷口さんが立ってるとこ」  見ると、オッパブに造詣が深い谷口さんがボーっと物置の前に立っていたので目印に使った。  すると、タカスくんはけっこう大きい粗大ごみなのに、それを片手に持ち替えて、空いたほうの手で谷口さんの方を指差し、「こっちですね」と確認した。それを見ていた真田さんが激昂した。  「人を指差すんじゃねえーーー!」
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激昂の裏に隠された真田さんの過去
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pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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