バーで働いた経験が活きた
――覚悟を決めて飛び込んだKさんですが、どんなスタートだったんですか。
Kさん:最初はいろいろ難しかったです。全体の仕組みがわかっていなかったので、1年目はとにかくインプットでしたね。自分からどんどんNさんに聞いて、仕事を覚えていくみたいな。でも殴られる、怒鳴られるとかはなかったです。ホント、普通の会社でした。
得意だったのは、女の子とのコミュニケーションのところですね。実は最初に配属されたのが新店だったので、比較的時間があったんですよ。風俗業界って、女の子の在籍数とか定着率とかが生命線なんですけど、ここで女の子たちのお兄さん的な感じで接して、僕に懐いてくれたのが大きいです。
「最近、カレシとどう?」とか「サークルどうなの?」とか。僕、ずっとバーで働いていたんで、女の子との会話にすっと入っていくっていうのが自然にできたんですよ。
――逆に、一番苦労したのはどんなところですか?
Kさん:入社して2年経って、渋谷店の立ち上げを任されたんですけど、今はエースになってくれた女の子たちに「どうして指名がないの?」「努力が足りないんじゃない?」とかいろいろ聞かれました。
それまではやっぱり上に店長がいたからうまくやれていたのが、全責任を自分が負って、ゼロから自分が作っていくとなると、全然違ったんです。初めて、謙虚になりました(笑)。
それで、女の子たちに対しての関わり方を、さらに深くしたんです。源氏名じゃなくて、本来のその子に向き合っていくスタイルですね。「私のこと、ここまで深く考えてくれてるんだ」って。そうやって僕、一人ひとりに向き合っていったんです。
Kさん:女の子が定着してくれるようになってからはすごかったです。渋谷店は一気に立ち上がって、激戦区の五反田にも店を出しました。そこでオーナーに認められて、純利益のウン%を報酬としてもらえる権利を獲得したんです。フルコミッションですね。
今年に入ってからは平均月給130万円です。ここ数か月だとずっと160万円を超えています。Nの予言通り、年収四桁万円超えましたね。目標だった、大学の同級生も超えたと思います(笑)。
――率直にお伺いしたいんですが、年収1500万円超の生活って、どんな感じなんですか。
Kさん:家は恵比寿のタワマンに住んでいます。1LDKで家賃29万8000円、とらちゃんという猫と二人暮らしです(笑)。お金の使い道は、交際費が多いです。僕、ずっと飲食やってたんで、基本一人1万円くらいするお店しかいかないんですよ。あとは釣りに行ったり、ゴルフしたり。友達と遊ぶのに使っている感じです。
でも稼いでみて分かったんですけど、稼いでも特に幸せにはならないです。ただ、仕事の面ではすごい充実しているんですよね。僕、24歳までのことってあまり思い出せないんですけど、今の会社に入ってからって、一日一日がすごく濃いので、すごい覚えているんです。