早大中退の35歳男性が子供部屋を出ない理由「クリエイティブでありたい」
「子供部屋おじさん」という言葉が近頃ネット上で叫ばれている。35歳以上で実家の子供部屋に寝起きしている中年のことを指すらしい。
彼らは社会からどうも自立していない中年として揶揄されているようだが、当の本人はどのような意識で日々を過ごしているのだろうか。本人なりの、やむにやまれぬ事情や想いがあるはずだ。
そんな「子供部屋おじさん」の実態を探るべく、今回は埼玉県郊外の実家の子供部屋に住むKさん(35歳)にインタビューを行ってみた。
――単刀直入にお聞きしますが、「子供部屋おじさん」と言われてどんな気持ちがしますか?
K:バカにされているんだな、ということは分かりますが、あんまり心に刺さらないですね。芯を食ってないと思います。
――なるほど。どうしてあんまり心に刺さらないんでしょうか?
K:統計的に自分がそこまで特殊な存在ではないと理解しているせいでしょう。不安を煽ってはいるけど、どうせみんな実態は「子供部屋おじさん」と似たり寄ったりじゃないかと思っています。若い人たちが年金の支払いを拒否するようなものです。みんなヤバいんだから逆に安心という心理なんです。
――Kさんがどのようにして現在の境遇に至ったのかが気になります。Kさんのこれまでの遍歴について、少し語っていただけないでしょうか。
K:生まれてからこの方、この街を出てませんね。学校も職場もいつも実家から通っていました。埼玉のこの辺じゃそれが普通だと思います。両親は父が建築家で母が小学校教師なので、いわゆる中流家庭で教育に関する意識も高かったと思います。
――恵まれた生育環境だと思いますが、どこかに問題があったと思いますか?
K:もしかしたら教育方針がリベラル過ぎたというのはあるかもしれません。ダメなものはダメ、と一喝するような教育ではなく、人と違うことは個性だからそれを伸ばしていけばいい、自分で自分のやりたいことを考えろ、というような教育です。
それと、ぼく個人の生まれ持った性質として、今でいう発達障害・ADHDの傾向がありました。冬でもなぜか半袖だったし、授業中はずっと窓の外を見ていたし、集団行動では常にワンテンポ遅れて動くような児童でした。
「子供部屋おじさん」かく語りき
「子供部屋おじさん」の半生
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