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モノが多様化すればするほど、貨幣の価値は下がっていく<プロ奢ラレヤー>

欲しいものが多様化するとやがてお金が必要なくなる!?

 つまり、いろんな人と容易に繋がれる環境が整うほどに通貨を介する必要性が小さくなっていくんですね。「お金の価値が下がる」というのは、別に価値がなくなることではありません。ただ、お金を必要としない取り引きが増えれば増えるだけ、通貨の価値は相対的に下がるということです。  たとえば「メルカリ」で不要なものを販売して得たポイントを使い、自分の欲しいものを購入することも立派な「トレード」と言えるでしょう。お金は便利ですが、「いや別に直接交換しよーや」という人が増えればそっちのほうが便利だよねという話です。  自分のいらないものと相手のいらないものをトレードすることが、ネットワークの強い現代では容易にできるようになったのです。  通貨の価値が下がる要因としてもう一つ考えられるのは、欲しいものが多様化している点にもあります。これまではメディア一本でテレビとか同じものを見ていたから、みんなの欲しいものが一緒だった。多くの人の消費願望はメディアにとりあげられる、「お金で買える同じようなもの」に向けられていました。それはマイホームだったり、高級車だったり、ブランド品だったり。  でも今は小学生でも自分の好きなYouTubeを見て、好きなチャンネルを選ぶことができる。SNSではフォロワー1万人前後のインスタグラマーが無限にいて、それぞれ誰かの「憧れの女のコ」になっている。欲しいものもその入手方法も多様化して、その中にお金じゃ買えないものも入ってくる。〇〇ちゃんが着ていたから、というだけでちょっとした商品に注目が集まる世界になっています。  昔みたいにお金をかければかけるだけいいものが手に入るという時代は終わりました。  「一般受容性」そのものが変化する中で、今後はお金なんて全然なくても幸せ!という人も増えてくる気がします。  実際に、サブスクリプションやシェアエコノミーの発展は、さまざまな選択肢の中から商品をチョイスできるにもかかわらず、お金をかけずに楽しめるようになっています。お金そのものには大した価値がない。そう思う人が増えても不思議じゃない。若者の購買欲が減っていると言われるのは、購買以外の選択肢を多く知っているからではないでしょうか。 「ドラクエウォーク」(実際に街を歩いて冒険する無料ゲーム)だけやってれば人生幸せって人は、たぶん一生無課金でゲームしていても楽しめる。「タワマンもベンツもいらないや」という人で世の中が溢れていけば、お金の価値なんてたかが知れています。 ●まとめ ・今後、お金の価値は下がっていく ・その代わり物々交換がスムーズに行えるようになる ・お金をかければかけるだけ、価値あるものが手に入る時代は終わった <文/プロ奢ラレヤー 撮影/山川修一(本誌)>
本名、中島太一。23歳。「他人のカネで生きていく」をモットーにツイッターを介して出会ったさまざまな人に「奢られる」という活動をし、現在フォロワー約9.8万人。奢ってくれた人々との邂逅を綴った「奢ログ」を含む日々の考察を有料note「プロ奢ラレヤーのツイッターでは言えない話。」として配信中。著書『嫌なこと、全部やめても生きられる』(扶桑社刊)、『プロ奢ラレヤーのあきらめ戦略』(祥伝社)。
嫌なこと、全部やめても生きられる

「逃げたら負け」と思っている人々へ。"目からウロコの意識低すぎ実践哲学"
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