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プロ奢ラレヤーの頑張らない生き方「稼ぐのにストレス感じたら意味ない」

 中高年うつの増加や家庭崩壊、過労死、収入減、突然のポストオフや早期退職、リストラなど、頑張りすぎて心身ともにダメージを負ったり、いくら頑張っても報われない状況が常態化して久しい日本のサラリーマン。ただ頑張ることでなんとかできた時代は遠い過去の話なのだ。  では、我々はこれからどのように生きるべきなのか?「頑張らないで生きる」ヒントを探る。

「お金を稼ぐ」から抜け出すことが“頑張らない”のカギ!!

プロ奢ラレヤー氏

プロ奢ラレヤー氏

 人はなぜ頑張ってしまうのか。そこには漠然としたお金の不安があるからではないか。 「お金を稼ぐことに執着しなければ、人生はラクになるのでは?」と語るのは、他人のカネでメシを食う「奢られ」を生業とするプロ奢ラレヤー氏。定期的な収入は、執筆活動など限られたものだけだ。 「取材の謝礼などは事務手続きが面倒なので、雑用をしてくれるマネジャーみたいな人に任せて、そのまま彼に渡します。サクッと食事を奢られるほうが僕は嬉しいですね。お金と自分の精神エネルギーをトレードする発想はないです。やりたくないことを外注するためのお金は欲しいけど、稼ぐのにストレス感じたら意味ないので」  まさに頑張らない生き方を体現するプロ奢氏。マネー観は独特だ。 「自分の負担を増やさずに、お金が増えるなら、そのほうがいいとは思います。僕も自分の口座情報のスクショを撮って、お金を振り込んでくれる人がいたら送るくらいの労力はかけられますし」

日本人的な苦しみの8割は前提のズレ

 とはいえ、コロナ禍では苦労することもあったのではないか。 「奢りたい人の数は減ったのかもしれませんが、前から数えてないし、変化は感じないです。このご時世に奢りたい人は余裕があるのか、逆に客層や店の値段は上がった気がします。セキュリティ付きの、隠れ家的な個室店とかに案内されることが増えました」  では、将来の不安は? 「そんな不安より確実にいつか死ぬ絶望感のほうが僕は大きいですね。お金持ちでもうつになったり、外を歩いていて車に轢かれたり、そういうリスクは生きていく以上は常にある。生活保護のある日本に生まれた時点で、生存に関するお金の心配をする必要はないと思っているので。  あと日本人的な苦しみの8割は前提のズレだと思います。大学の偏差値50って大学行かない人は母数に入っていないし、日本人が口にする普通は、僕の肌感だと偏差値65くらいの話が多い。奢りにくる東大生が言う普通もすごいですよ。『普通みんな官僚になるんですけど』って、偏差値80の世界の話をされますから」  お金に縛られない。これが頑張らない生き方には不可欠なようだ。 【プロ奢ラレヤー氏】 大学中退・海外放浪の末、他人からの依頼でメシを奢られる活動を始める。著書に『嫌なこと、全部やめても生きられる』(扶桑社刊) <取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/武田敏将 林 紘輝(本誌)>
嫌なこと、全部やめても生きられる

「他人のカネで生きていく」というモットーを掲げ、見ず知らずの人に奢られるという活動を行う「プロ奢ラレヤー」、22歳。実践するのはただ一つ、「嫌なことをしないだけ」。 その生き方は一見、モラルや常識に反しているように見えるが、なぜ人々は奢ってまでも彼に会いにいくのか?

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