ヤクザが見た「ゴーン逃亡劇」…保釈金15億円は山口組NO.2と同額
まさに「青天の霹靂」だった。日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告の国外脱出に日本はおろか、世界中が驚いた。その“高跳び”に、同じく“冷や飯”を食わされていたヤクザたちが一縷の望みを見出していた……。
昨年大晦日の昼すぎ、年越しに向かって世間がのんびりと弛緩していた日本に、寝耳に水の一報が入ってきた。金融商品取引法違反などの容疑で逮捕・起訴され、昨年4月に保釈されてシャバに出ていたカルロス・ゴーン日産自動車元会長が、「私はいまレバノンにいる」との声明を発表したのだ。これで事実上、日本の司法が彼を裁くことはできなくなった――。
海外渡航禁止を条件としてゴーン被告に保釈許可を出した東京地裁をはじめ、日本の司法関係者をあざ笑うかのような、無断出国による電撃逃亡、そして高らかな勝利宣言だった。今年4月に予定されていた初公判に向けて準備を進めていた東京地検特捜部や彼の弁護団にとって、年末年始の休暇を吹き飛ばす悪夢だったろう。
この逃亡劇と日本の司法制度は分けて考えるべきだが、別の視点でこの騒動を眺める集団がいる。日本の刑事司法と最も密接な存在と言えるヤクザたちである。
「ゴーン被告は昨年3月に保釈された際、保釈金として10億円を納付しています。その後別容疑で再逮捕され、4月に5億円の保釈金を追加納付していました。
この合計15億円という数字は、六代目山口組のナンバー2である髙山清司若頭の保釈金と同額です。2人はいずれも捜査段階から一貫して容疑を否認している点も共通しており、ヤクザ業界では2人の立ち回りを比較する見方が出ています」(実話系週刊誌記者)
髙山若頭は、京都市の建設業者から計4000万円を脅し取ったとして、’10年11月に恐喝容疑で逮捕・起訴され、’12年6月に15億円を納付して保釈の身となった。
「ゴーン被告の保釈を報じるニュースを聞いて、まず思ったのが、『世界を股にかける経営者は髙山若頭と一緒か。さすがはカシラだな』って。しかもその後ゴーンが海外に飛んだことで、さらにカシラの男っぷりが際立った。カシラは一審と二審で懲役6年の実刑判決を受けていたが、組織運営の停滞を招かないよう、’14年5月に自ら上告を取り下げて刑務所に入っている。あれだけの資金力とネットワークがあれば、海外逃亡しようと思えばできたはずなのにな」(関西で活動する六代目山口組系組織の元幹部)
また、ゴーン被告は、昨年末の逃亡声明や今月8日の記者会見などでも「私の裁判は有罪が前提」
「日本の裁判の有罪率は99.4%に達する。外国人はさらに高い」などと主張。日本の司法制度への不満を表明しているが、これに共感する“業界人”は多い。
「ヤクザの裁判も完全に有罪ありき。髙山若頭の判決の決め手になったのは、被害者との宴席で放った『よろしく頼む』という言葉だが、こんな社交辞令をもとに懲役6年の判決が出るなんてムチャクチャだろう」(北関東で活動する神戸山口組系組織の元組長)
しかも重点ターゲットにしている対象への検察官と裁判官の情熱は凄まじく、たとえ被告に有利な証拠が出てきても、厳罰の結論は変わらないという。
「例えば、六代目山口組直参の小西一家総長の殺人罪などに問われた裁判は本当にデタラメだった。一審判決の根拠になった元組員の供述が、実は検察官に誘導されたでっちあげだったことが控訴審で明かされたのに、判決は変わらず無期懲役。そのまま最高裁で確定してしまった。裁判所がこんな調子では、ゴーン被告が逃げ出したくなる気持ちはよくわかるよ」(同)
最も日本の刑事司法と密接に関わるヤクザがゴーン逃亡に“熱視線”
ゴーンと髙山若頭、保釈金「15億円」の一致
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