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ゴーン被告が8日会見へ。日本人には理解できない“海外逃亡”という発想の根源

カルロス・ゴーン被告「私は今、レバノンにいる。ようやく日本の偏った司法制度の下での囚われの身ではなくなった」  オリンピック・イヤーの幕開けが目前に迫った’19年大みそか、衝撃のニュースが世界を駆け巡った。金融商品取引法違反や特別背任罪で逮捕・起訴され、保釈中の身であった日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告が、まさかの「国外逃亡」を企てたのだ。  ゴーン被告は、1月8日の午後8時(日本時間)に、レバノンのベイルートで記者会見を開く予定だと広報担当者が明らかにした。逃亡理由や、日本の司法への批判が語られるだろう。

レバノン政府の関与はあったのか?

 ゴーン被告の広報窓口となっているフランスの企業が昨年12月31日に出した声明文には、日本の司法制度に対する批判が綴られているとともに、逃亡はあくまで単独で行ったもので「妻ならびに家族は何の役割も果たしていない」としている。だが、12月31日付の仏紙『ル・モンド』は「妻のキャロル氏が謀った計画」と一刀両断。「彼女もレバノン行きの飛行機に同乗していた」などと報じている。  今なお情報が錯綜しており出国経路の詳細も明らかとなっていないが、1月3日付の米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』によると、ゴーン氏の関係者と見られる人物が事前にトルコの民間航空会社「MNG」のプライベートジェットをチャーター。関西国際空港で、機内にゴーン氏が身を潜めていたとされる音響機器運搬用の黒いケースを運び入れ、ドバイから来日した元米陸軍特殊部隊員の米警備会社関係者ら2人とともにトルコ経由でレバノンに向かったという。  MNGはゴーン被告の名前が記録に残らないよう書類を改ざんした従業員を告発し、トルコ当局もこの従業員を含む逃亡を手助けした可能性のある5人を逮捕したが、レバノン外務省は早々に「(ゴーン被告は)合法的に入国した」と発表。同国のセルハン暫定法相も「日本側に身柄を引き渡すことはない」と表明しているうえ、日本がレバノンと犯罪人引き渡し条約を結んでいないこともあり、現時点でゴーン被告を日本に連れ戻す可能性はほとんどないと言っていいだろう……。

ゴーン被告とレバノン大統領の共通点

 レバノン政府が国家ぐるみで関与したとする疑惑も拭い切れないが、なぜ、ゴーン被告はこのようなスパイ映画さながらの逃亡劇を繰り広げたのか? 元レバノン特命全権大使で外交評論家の天木直人氏が話す。 「今も『3か月前から入念に計画を練っていた』とか『逃走資金は2000万ドル』といった情報が飛び交っていますが、何より、出国先がレバノンでなければ“成功”しなかったでしょうね……。  レバノンは日本人が考えるような主権国家ではなく、国の統治が18の宗派に分断されているモザイク国家で、大統領、首相、国会議長の3つの重要ポストをキリスト教とイスラム教スンニ派・シーア派の主要3宗派が伝統的に占め、権力の争奪戦を繰り返してきた歴史がある。だから、キリスト教レバノン人のゴーン被告に、同じキリスト教のミシェル・アウン大統領が手を貸すのは当然の話なのです」
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ゴーン被告による「日本の司法批判」は一理あるのか?
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表紙の人/ 森 七菜

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