更新日:2023年05月18日 16:18
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ヤクザが見た「ゴーン逃亡劇」…保釈金15億円は山口組NO.2と同額

検察・裁判所は刑事司法制度に問題意識を持っていない

 今月8日、ゴーン被告が逃亡先のレバノンで開いた記者会見は、世界中のメディアに対して日本の司法制度の後進性が宣伝される場になってしまった。  彼の言動を盗っ人猛々しいと感じる日本人は多かろう。だが、弁護士の井垣孝之氏によれば、そうした考えは改める必要がありそうだ。公正で適正な手続きで被疑者が裁かれることこそが、裁判で最も大切なことだからだ。 「適正な手続きに基づいて捜査と公判が行われるのであれば、有罪でも無罪でも構いません。しかし、現行刑事訴訟法のルールと運用が本当に適正なのかは、疑問があります。ゴーン氏の件では、裁判所が130日間も家族との面会も禁止したままの身柄拘束を認め、検察が弁護人の立ち会いなしで約280時間も取り調べし、身柄を引き換えに自白を迫るという、いわゆる人質司法が、大きな問題として世に知られることとなりました」  一方、ゴーン会見を受け、森雅子法務大臣は「我が国の刑事司法制度は、個人の人権を保障しつつ、事案の真相を明らかにするために適正な手続きを定めて適正に運用されている」と真っ向から嚙みついた。人質司法に、トップがかくも無自覚なのはなぜなのか。
森雅子法相

ゴーン会見を受け、9日の未明に臨時の記者会見を開いた森雅子法相

「裁判所や検察庁、そして司法制度を所管する法務省は、『今ある刑事司法制度は正しい』という前提に立つので、日本の刑事司法に問題があるとは絶対に認めません。しかし、人質司法や、証拠が一部しか開示されず、被告人に有利な証拠が握りつぶされる証拠開示の問題が多くの冤罪を生んできた現実がある以上、彼らの言い分が説得力を持つことはありません」
井垣孝之弁護士

井垣孝之弁護士

 ゴーン被告に大恥をかかされっぱなしの日本の司法。彼を裁いて権威を取り戻すには、彼が主張する司法の不公正さを取り除く以外にないジレンマに陥っている……。 【井垣孝之弁護士】 京都大学法学部卒業。ロー・リンクス法律事務所代表弁護士。ゴーン被告の逃走劇についての詳しい論考が評判に 取材・文/福田晃広・野中ツトム(清談社) 写真/ABACA PRESS AFP EPA 時事通信社 ※週刊SPA!1月21日発売号より
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週刊SPA!1/28号(1/21発売)

表紙の人/ ゆきぽよ

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