更新日:2023年05月18日 16:18
ニュース

ヤクザが見た「ゴーン逃亡劇」…保釈金15億円は山口組NO.2と同額

ゴーンが言ってくれたおかげで目が覚めた

 ゴーン被告は、逃亡を決意した最大の理由として、長期の身柄拘束を挙げる。’18年11月の逮捕以来、東京拘置所の独房に130日間収容され、シャワーは週2回に制限される環境で、弁護士の同席なしで一日最長8時間もの尋問が行われていたと主張している。
ヤクザが見た[ゴーン逃亡劇]

ゴーン被告が130日間勾留されていたと言われる東京拘置所の独房。「人質司法」の象徴と海外メディアは批判する

「大抵のヤクザは、日本の警察や検察の捜査を裁判所がどうサポートしているかについては詳しいが、海外のことはほとんど知らない。だから、一度逮捕されると、再逮捕の嵐で拘束され続けながら取り調べを受けるのが当たり前だと思ってた。それが国際的な感覚だとおかしいってゴーン被告が言ってくれたおかげで、目が覚めた気がするな」(関西地方で活動する神戸山口組傘下組織の元組員)  こうした身柄拘束により被疑者を精神的・肉体的に追い込んで自白獲得を目指す捜査手法は、「人質司法」と呼ばれ、日本の弁護士会から長らく批判されてきた。ゴーン被告もまた、日本の裁判のシステムは基本的な人権が守られず、外国人への差別が蔓延した不公正なものだと主張し、逃亡の正当性を国際社会に向けて熱烈アピールしているのだ。  そんなゴーン被告の言葉が世界の共感を呼び、それが日本政府への圧力となって、被疑者の人権に配慮した司法改革が進むなら、ヤクザにとっても福音だろう。 「ヤクザはゴーン被告なんて目じゃないくらい、差別的な人権侵害状況に置かれていますよ。暴力団排除条例により、銀行口座もクレジットカードもつくれないし、ローンも組めない。携帯電話の契約もできない。ゴルフ場でプレーするのもホテルに泊まるのもダメだし、アパートやマンションを借りることすらできません。もし身分を偽ってでこうした契約をすると、詐欺罪で逮捕されるんです」(ヤクザ事情に詳しい週刊誌記者)  もっとも、ゴーン逃亡に刺激された世論は、保釈条件の厳格化など、被疑者への当たりが強い。今後の司法の風読みに要注目だ。 ヤクザが見た[ゴーン逃亡劇]
次のページ right-delta
日本の司法制度の後進性
1
2
3
週刊SPA!1/28号(1/21発売)

表紙の人/ ゆきぽよ

電子雑誌版も発売中!
詳細・購入はこちらから
※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める!
おすすめ記事