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「愛子様」女系天皇論者に問う5つのこと/倉山満

皇室における先例とは、掟であり、壁であり、皇室を守る最強の武器なのだ

言論ストロングスタイル

繰り返し議論される「女系天皇」。NHK放送文化研究所が昨年9月に行った調査によると、71%が女系に賛成と回答しつつも、全体の52%がその意味を知らなかった 写真/時事通信社

 悪夢を想像してほしい。  二○××年、皇室の後継者が絶えるのが確実となった。世界の覇権はアメリカと中国が争い、すべての他の国は両国のご機嫌を取らざるをえなかった。小国日本も例外ではない。こうした状況の中、日本政府と国民の多数は××内親王の婿に中国共産党幹部の子息を迎えることとした。やがて婿殿は天皇に即位し、皇位はその子孫に代々受け継がれていった。  なお、他に後継者候補がいたにもかかわらず、その男子は退けられ、あえて中国共産党の幹部の子息を迎えたのだった。(小著『天皇がいるから日本は一番幸せな国なのです』より)  さて、これを防ぐ方法は、あるのか。仮に政府が言い出し、国民の多数が支持し、国会が決定したとき、無い。ただし、一つだけ方法がある。先例を盾に、国会での可決を防ぐことだ。あるいは政府に再考を強要することだ。何より、国民が「これまでの伝統を守るべきである」と団結すれば、皇室は守れる。先例こそ皇室を守る最強の武器なのである。  蘇我入鹿、弓削道鏡、藤原基経、平清盛、足利義満、徳川秀忠……我が国の長い歴史では、皇室の伝統を歪めようとした者、あまつさえ乗っ取りを仕掛けた者もいる。だが、そのすべてが阻止された。一つには現実の力によって防いだ。もう一つには、いかなる権力者も先例の壁を乗り越えられなかったからである。  皇室を凌駕する権力者など数多いた。むしろ、暗殺された蘇我入鹿のように物理的に排除された者の方が少ない。皇室の奥義は、先例を盾にして、絶対に踏み込めない領域を守ることだ。その領域とは、世俗の男を皇室に入れないことだ。  歴史上、北畠親房のように准皇族になった人物は何人もいるし、豊臣秀吉のように歴代関白は「殿下」と呼ばれた。だが、世俗の男には一人として皇族になった者はいないし、誰一人「陛下」と呼ばれた者はいない。先例が無いので許されなかった。准皇族と本物の皇族、殿下と陛下の間には、絶対に超えられない壁がある。先例の壁である。皇室における先例とは掟のことなのだ。  皇室とは、先例が吉、新儀は不吉とする世界である。ただし、その後に定着して先例となる事例もある。たとえば民間人皇后だ。奈良時代に藤原光明子を新儀として、その後の光明皇后の振る舞いがあまりにも立派だったので、先例として定着した。だが、長屋王の変によって血塗られた新儀だった。新儀は無理やり行うものではない。
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「女系論」は「雑系論」にすぎない
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