働かずにオタ活を満喫する42歳。なぜ無職でいられるの?
「僕はそもそも生活費があまりかからないほうだと思います。家賃が3万円、光熱費が1万円、食費が3万円、インターネット代が7000円。合計1か月あたり8万円弱で生存はできますね。交際費はその月によります。ライブ後にオタクたちと飲むことは多いですが、お金はできるだけ推しにつぎ込みたいという考えの人ばかりなので、激安居酒屋にしか行かないです。助かっています(笑)。
貯金に余裕があった頃はあまり気にしていませんでしたが、最近観に行くライブの半数以上はチケット代がかからない“無銭ライブ”です。イチオシのグループのほかに、気になるグループが複数あるので、無銭ものだけで週1回くらいはライブを楽しめちゃいます」
アイドルを応援することで、充実した無職期を過ごしている藤原さん。しかし、最近ではそろそろ就職活動を始めようかと考えているそうだ。
「実は貯金がついに100万円を切ったんです。なので、春には就職活動を始めようかなと思っています。狙いは就業時間中もスマホでオタ活できそうな、古本屋さんですかね。
でも3年間働くのをやめてみて、学びはあった気がします。自由に時間を使える喜びの反面、毎日ライブとTwitterしかやることがない退屈さも感じ、社会復帰への意欲が芽生えました。働くことの意味がわからなくなっていた自分にとってはいい充電期間になったかな」
“無職でオタ活”は、やはり貯金を切り崩す有限の生活だったようだが、藤原さんにとって無職中の3年間は、“二次モラトリアム”のようなものだったのかもしれない。藤原さんは社会復帰しても、もちろんアイドルの応援は続けるそうだ。<取材・文/福永全体(A4studio)>
最近のアイドル文化に縁のない人たちにとっては聞きなれない印象の無銭ライブだが、アイドルファンのなかではすでに市民権を得ている言葉だ。その他にも藤原さんなりの節約術があるそう。
「握手会では、シングルCDのときだけ購入して記念にチェキを撮るようにしています。以前は一晩で5万円分くらいチェキを撮ったりしていたんですが、もともとカッコいいバンドを尊敬するのに近い感覚でアイドルファンになったので、チェキは1、2枚でも十分満足できるんだと、無職になって学びました(笑)。
あとはオタク仲間にも救われてますね。地方ライブを観に行くために遠征するときは車を出してくれるオタク仲間がいるので、誘いあって交通費を節約しています。また、複数のグループを推しているオタクが多いため、お互いに別グループのCDを交換して宣伝し合ったりもします。そのおかげで世界が広がることもあるんですよ」
一方で藤原さんは自身を「たまたまお金をかけずに楽しめるタイプだった」と分析しており、節約しながら楽しめるかどうかは本人の趣向や気質によるとのこと。
「さいわい僕がアングラ趣味なので、そこまで売れてない子たちを応援することが多いんですよ。まだ知名度がないグループであれば、お金儲けより知ってもらうことに力を入れていることが多いので、無銭ライブが結構あります。坂道オタやハロオタの方ならそうはいかないでしょうね。
くわえて僕は、“推されオタ”(アイドルに特に気に入られるオタク)にならなくても満足できちゃうんですよね。推しに自分をアピールしようとすると、どうしても接触回数を増やさなくてはいけないので、出費がかさみます。それよりも、自分が楽しむということを最優先させれば、少ない予算で充実したオタ活ができる気がしますね」
充実した無職期を経て思うのは「働きたい」
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