エンタメ

人がゴミだと思うものにだって、価値がある――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第80話>

空き地で見つけた、とんでもない宝物

 当時、僕らはこの空き地で珍しいものを見つける遊びに夢中だった。  僕らの背丈以上に伸びた雑草は視界を奪い、そこはさながら闇深い森のようでもあった。まだまだ不法投棄などに緩い面があった時代なので、ここに不届きな連中が不用品を捨てていく、それを僕らが見つける、そんな遊びだった。  「とんでもないものが見つかったぞ!」  友人の誰かが叫んだ。僕らは草をかき分けて声がした方へと突き進んでいく。そこには巨大な仏壇が半分地面に埋まった状態で捨てられていた。 「仏壇って捨てるものなんだ」  そう言った友人の言葉が印象的だった。本当にそうだ、捨てるものなんだ。  他にも壊れたバイクやルームランナー、ぶら下がり健康器みたいなもの、盗んできた自転車、そんなものがゴロゴロと捨てられていた。  そんなある日、異変が起こった。友人が何かを発見したらしいのだが、いつものような叫び声ではなく、何かの感情を押し殺したような声で静かに、それでも力強く僕らを呼びつけたのだ。 「おい、みろよ」  言われた通り見てみると、そこにはエロ本が捨ててあった。表紙にはバニーガールの格好をしたおばさんが尻を突き出していた。なんだかそれは妙に切ない写真だった。  なんだかそのバニーガールのおばさんが他のゴミと同様、不必要だと判断されて捨てられたように思えて、バニーの格好までしたのに……と妙に悲しかったのを覚えている。  僕の思い出の中にはやたらとエロ本を拾ったエピソードが多い。当時は本当に空き地やゴミ捨て場にエロ本が捨てられていることが多かった。僕らはそれを拾い、エロに目覚めていったわけである。昭和後期の子供たちはみんなそうだった。  ただ、このエロ本だけは違った。ちょっと内容がグロすぎて、幼い僕たちには刺激が強すぎた。早い話、あまり喜ばしいものではなかった。 「まあせっかくだし」  と何がせっかくなのかよく分からないセリフを吐いて、すっかり戦利品ボックスとなり果てた仏壇の中にしまっておいた。
次のページ
誰の仕業か、昨日と同じ場所に置かれていた新たなエロ本
1
2
3
4
5
テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
Pianoアノニマスアンケート
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白