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人がゴミだと思うものにだって、価値がある――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第80話>

キテレツ斎さまって、俺らみたいなおっさんだったのかもな

「ネットとかじゃないの」 「そうかあ」  なんだか寂しい感じがした。 「キテレツ斎さまってどんな人だったのかな?」  僕の言葉に、友人は少し考えて答えた。 「わかんねえけど、なんとなくだよ、なんとなく、この歳になってわかるわ。たぶん俺みたいなおっさんだったんじゃねえかって」  よく意味が分からずに首を傾げていると、友人が続けた。 「俺もまあ、ニートみたいなもんだけどよ、自分をゴミだとは思わないんだわ。それと同じで、あのゴミばかりの空き地にも誰かに求められるものがある、ゴミの中にも誰かが求めるものがある、そう思いたい人がいたんじゃないかな。俺はあの時のキテレツ斎さまの気持ち、なんとなくわかるわ」 「求められるゴミだってあるんだぞ! それがエロ本だ! ってな」  友人はそう言ってまた高らかに笑った。 プシュ  友人は買ったばかりのストロングゼロを飲み始めた。 「車は置いて帰ればいいだろ、飲むか」 「飲むか」  僕もプルタブを引っ張る。  プシュッと小気味いい音がして、あたりに芳醇なレモンの香りが広がった。ストロングゼロの香りだ。 「俺んち来るか? いいツマミがある」 「お、いくいく」 「歩いて帰りながらエロ本探そうぜ」 「あるわけないだろ。あっても拾わないし」  僕らは笑いながら歩き始めた。また空を見上げると、やっぱりあの時、みた空と同じような気がした。 patoロゴ・イラスト/マミヤ狂四郎(@mamiyak46
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。ブログ「多目的トイレ」、twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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