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松下幸之助に学ぶ「自分の器を大きくする考え方」

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第166回
社長

※写真はイメージです

 松下幸之助という実業家がいます。松下電器(現パナソニック)を一代で築き上げた、昭和を代表する立志伝中の人物です。また晩年は「松下政経塾」を開き、政治家や実業家の育成に尽力しました。  幸之助の人生は最初から順風満帆だったわけではありません。父親が相場で失敗したことで、9歳にして親元を離れて火鉢屋に奉公するようになり、10歳から15歳までを自転車屋で、16歳から22歳までを『大阪電灯』という電気会社で働きました。  この電気会社で働いている時に、幸之助は八木与三郎という綿布商が立てた邸宅の工事を担当しました。その邸宅は千坪あまりの敷地に立ち、風呂も来客用と家族用に分かれているような豪邸で、当時2畳と3畳の二間に暮らしていた彼は驚かされました。  この体験について、自伝「私の行き方考え方」(PHP研究所)には、次のように綴られています。「やはり八木氏ぐらいの成功者になると、贅沢からというわけではなくて、こんな邸宅が実際に必要なのかいなあと半信半疑ながら考えさせられたものである。こういう立派な工事に従うと、また別な意味において教えられる点が多々あるものである」。  行動の背景には常に人物の影響があります。その影響の種類は様々です。誰かに自分の仕事を感謝されて、「この道を進もう」と励みになることもあれば、誰かにけなされて、「いつか見返してやる」とバネになることもあります。こうした人物の影響はインスタントでわかりやすい部類に入ります。  その一方で、わかりにくい人物の影響もあります。「松下幸之助は八木与三郎の邸宅で工事をしたから松下電器を大企業にできた」と言ったら、それは言い過ぎです。しかし、本人が「別な意味において教えられる点が多々ある」と考えている以上、「まったく関係ない」と言ったら、それもまた言い過ぎです。  このように「ゼロ」とも「イチ」とも言えないような、間接的な「遠因」の部分が、人物の影響には存在します。そして、そうした遠因の積み重ねによって、人生は作られています。  相場で失敗した幸之助の父親は息子に強く期待し、「出世しなければならん」と口癖のように言い聞かせていました。そのことが綿糸問屋の小僧から綿布商にまで成り上がった八木与三郎の邸宅に対する、幸之助の思いを強くさせたことは想像にかたくありません。
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自分の器が少しずつ大きくなると…
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