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松下幸之助の人生を変えた父親の遺言とは?

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第160回 実業家 松下幸之助という実業家がいます。松下電器(現パナソニック)を一代で築き上げた、昭和を代表する立志伝中の人物です。また晩年は「松下政経塾」を開き、政治家や実業家の育成に尽力しました。  松下幸之助は和歌山県の農村で生まれました。小地主という家柄で、裕福な暮らしを送っていましたが、父親が米相場に手を出して失敗。土地も家も手放し、農村から市内に移り住んで下駄商を開きました。ところがこの下駄商も2年で閉店し、次第に困窮するようになりました。  こうした状況で、松下幸之助は9歳で親元を離れ、火鉢店に丁稚奉公に出ました。父親は彼にとても期待していました。彼は8人兄弟の3男末子でしたが、彼が小学校に入学した時に、長兄、次兄、長姉を相次いで亡くしていたからです。 「出世しなければならん。昔から偉くなっている人は、皆小さい時から他人の家に奉公したり、苦労して立派になっているのだから、決してつらく思わずよく辛抱せよ」  父親が口癖のようにそう言い聞かせてくれたと、彼の自著『私の生き方 考え方』(PHP文庫)では紹介されています。また、そのことについて「父は先祖から受け継いだ多少の財産をなくしたことを済まぬと思うとともに、一人残った男の私の出世を、どんなにかして、と強く期待しておったことが、今静かに考えてみるとよくわかるのである」と記しています。  行動の背景には常に人物の影響があります。その影響の種類はさまざまです。励みになることもあれば、束縛になることもあります。進むべき方向から外れる脇道になることもあれば、「こうはなりたくない」とバネになることもあります。 「親が子にかける期待」の影響はとりわけ複雑です。それが本人の気質に合えばプラスに働きますが、合わなければマイナスに働きます。松下幸之助に対して、父親の期待はプラスに働きました。それは彼の実績を見れば明らかです。
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父からの遺言も励みに
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