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松下幸之助が好待遇だった会社を辞めて独立する決断ができたワケ

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第176回
スーツ

※写真はイメージです

 松下幸之助という実業家がいます。松下電器(現パナソニック)を一代で築き上げた、昭和を代表する立志伝中の人物です。また晩年は「松下政経塾」を開き、政治家や実業家の育成に尽力しました。  松下電器を創設する以前の彼は、「大阪電灯」という電力会社で働いていました。社内での評価は高く、22歳で配線工事をチェックする検査員に昇進しています。これは一緒に昇進した中でも最年少でした。  検査員の仕事について、「非常に楽で、時間にも余裕があり、羨ましがられた」と彼は振り返っています。普通ならば喜びそうな待遇です。ところが、その昇進のわずか5ヶ月後に退職して独立します。  退職は一つの決断です。そして、決断には「人物の影響」があります。松下幸之助の退職と独立には、大阪電灯で上司だった主任が影響しています。  松下幸之助は検査員になる少し前から、ソケットの改良を思案していました。その試作品を主任に見せたところ、「松下君、これは君だめだぜ。問題にならんね。この程度のものであれば課長に話しもできない、君」と酷評されてしまいます。  検査員になった当初、彼はその仕事に打ち込んでいました。しかし、彼にとっては楽であるがゆえに退屈で、すぐに「このままでよいのか」と思い悩むようになります。その結果、「会社を辞めソケットの製造をし、そして会社に買ってもらう。主任はだめだといったがそれは見誤りだ」と結論を出して退職します。  人物の影響には、「原動力」と「呪縛」の2種類があります。誰かの言動が喜びや怒りになって、自分の決断を促してくれる。それが原動力です。誰かの言動が悲しみや呪縛になって、自分の決断を妨げてくる。それが呪縛です。松下幸之助の退職の決断は、否定されたことに対する反発心が原動力になっています。  松下幸之助はこの主任の評価に対して、「実はずっと後ではあるが、このソケットは一利一害で全く失敗であったことがわかった」と言っています。また、独立して最初に作ったソケットはほとんど売れず、別の製品を製造して販売していました。
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人物の影響に気づくコツ
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