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新型コロナウイルスを正しく怖がる方法。マスクよりも手洗い重視の理由とは?

 国内外合わせて感染者数37万2110人、死亡者数1万6225人(3月25日時点)と拡大の一途をたどる新型コロナウイルス感染。政府による休校措置から各イベントの自粛要請。東京五輪の延期は決定し、先ごろ行われた小池都知事による会見では、週末の外出自粛要請もなされた。どの局面においても「感染拡大を食い止める重大な時期」と繰り返され、国民の不安は募るばかりだ。  マスクは今なお売り切れ状態が続き、フェイクニュースやデマを含めた、玉石混淆の情報がネット上に踊る。「未知のウイルス」という言葉一つで、世界で4000万人以上の犠牲者を出したスペインかぜになぞらえるなど過度に恐怖心を煽る向きもあるが、改めてこのウイルスに対する正しい知識を持ち、冷静に対処したいところ。  そんな中、感染症の問題を20年以上にわたって取材してきたジャーナリストの木村良一氏が、感染症対策の専門家である医師の岡部信彦氏を監修に迎えた新刊『「新型コロナウイルス」正しく怖がるにはどうすればいいのか』を上梓。 <新興感染症については、個人レベルでも国家レベルでも「いかに正しく恐れるか」が求められる>と本書の冒頭で述べてあるとおり、新型コロナウイルスに対しては、怖がりすぎることも怖がらなすぎることもなく、正当に怖がることが肝心だ。早速、本書の一部を覗いていこう。(< >は本書からの引用)

新型コロナウイルスの感染力

 新型コロナウイルスの感染の仕方は「飛沫感染」が中心で、風邪や季節性のインフルエンザと同じだ。飛沫感染するウイルスは、感染者の咳やくしゃみで飛び散る唾液や鼻水の飛沫を直接浴びたり、電車のつり革やドアノブに付着した感染者の飛沫に直接、手を触れたりすることで広がる。 <1人の感染者が何人に感染させるかという感染力は2人程度とみられている。これも2人~3人のインフルエンザとほぼ同じだ。新種のウイルスに対して私たちは免疫(抵抗力)を持たないので、新種の場合、感染力はかなり高くなる。それに未知の病原体だけに特有の感染ルートを持っている可能性もある。それを考慮したとしても、新型コロナウイルスの感染力は弱いと思う。 ~中略~  今回の新型コロナウイルスは、飛沫核感染する麻疹(はしか)の感染力(10人~20人)と比較すると、その感染力がさらに弱いことがよくわかる。>  世界中で爆発的に増えていく感染者数と志望者数を見ていると、物凄い感染力があるように思えてしまうが、実際の数字自体はそれほど脅威的ではない。

マスクより手洗い

 個人で行う対策は<手洗いとうがい、それに十分な睡眠と栄養摂取で抵抗力を付けること>とは、本書で再三書かれているが、多くの人が感染予防のためにしているマスクについては<「付けないよりは付けた方がましだ」ぐらいの感覚でいるべきだ>としている。マスクは正しく着用すれば、感染者の飛沫(咳やくしゃみで飛び散るしぶき)を防ぐことには効果的で、無数のウイルスを含んだ飛沫の大半は封じ込められるが、感染するリスクを避けるためのマスクの効果は疑問視している。 <鼻や喉の乾燥を防いで水分を保つという利点もある。ウイルスの付着した手を無意識に口や鼻に持っていってもマスクをしていれば、接触感染は防げるかもしれない。しかしこれも外すときに感染者の飛沫が付いている可能性のあるマスクに直接触れれば、結局は接触感染してしまう。  それに目はマスクでガードできない。ゴーグルが必要になる。飛沫を浴びれば、頭髪や衣服にも病原体が付着する。その髪の毛や洋服を手でさわれば、同じように感染する。>  マスクの売り切れや品薄で、必要以上にパニックになることはないのだ。
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特効薬のない未知の病原体?
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「新型コロナウイルス」―正しく怖がるにはどうすればいいのか―

根拠のないデマが氾濫する今、20数年間にわたって感染症の問題を取材し続けてきた著者が、最新の情報を一般の読者向けにわかりやすくまとめました。 「新型コロナウイルス」を“正しく怖がる”ための1冊です。

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