更新日:2020年05月04日 12:51
スポーツ

コロナでプロ野球は苦しいが、こんな時こそスーパースターが生まれる

“逆境”の時こそスーパースターが生まれる!?

梶原氏

「たび重なるプロ野球開幕延期に、心にポッカリ大きな穴が開いた感じがあります」(梶原氏)

 当初の予定どおり3月20日に無事開幕を迎えていれば、今季は複数の選手の記録ラッシュが期待される年だった。  ソフトバンク・松田宣浩選手は残り55試合で800試合連続出場、内川聖一選手は残り23試合で通算2000試合出場となる。阪神・福留孝介選手は残り103安打でNPB通算2000安打記録がかかっている。だがいずれも開幕が後にずれこめば、今季中の達成は難しくなってくる。  巨人・坂本勇人選手にいたっては、7月13日までに残り116安打を達成すれば「史上最年少での通算2000本安打記録」が期待されていた。しかし開幕の見通しがつかないいまとなっては、その可能性は絶望的だ。 「今季で引退を考えることになるベテラン選手もいるでしょうし、今が旬の若い選手たちのことを考えると、この事態は本当に悲しいことです。オープン戦で、最高のコンディションを実感していた選手もたくさんいたはずです」  さらに今季は、高校生の日本歴代最速163km/hをマークした、ロッテドラフト1位の佐々木朗希投手をはじめとした大物ルーキーの躍動も期待されている年だ。それだけに、たび重なる開幕延期の発表は多くのファンにもどかしさを感じさせる。  だが梶原氏は「こんな時だからこそ、スーパースターが生まれるのでは」との持論を述べた。 「阪神大震災の年はオリックスが優勝し、イチロー選手が大活躍しました。東日本大震災の時は、その2年後の2013年に楽天が優勝。田中将大投手は24勝0敗の大記録を達成しました。今までも、日本が逆境に立たされて元気がなくなった時に、夢と希望を与えるスーパースターがプロ野球界から誕生しています。3.11で実家を津波に流されながらも、苦境から立ち上がった背景を持つ佐々木朗希投手は、そんな今の“逆境”に打ち勝つスーパースターの資質を秘めているのではないかと思っています。彼には、日本の“復活”につながるシンボル的な存在になってほしい」  現在なお “白紙状態”にある2020年プロ野球の開幕。思うように練習ができない選手たち、一からプロモーション戦略を立て直さなければいけない球団。とにかく開幕しなくてはすべてが始まらない。 「本来であれば、今ごろ順位もつきはじめてますます面白くなっている時期。これまでの、プロ野球が行われていた日常がどれだけ幸せだったかということを、あらためて実感しています。一刻も早い、事態の終息を願っています」 【梶原紀章氏】 千葉ロッテマリーンズ球団広報。第1回WBCでは日本代表の広報担当として世界一を経験。元『サンケイスポーツ』の記者で読みやすく泣かせる文章に定評があり、「文春オンライン」や『千葉日報』で連載を持つ。著書に『千葉魂 マリーンズ挑戦の日々』(千葉日報社)など 文・写真/櫻井れき
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千葉魂〈vol.6〉マリーンズ挑戦の日々

千葉ロッテマリーンズ広報担当梶原紀章氏が千葉日報運動面で執筆した連載「千葉魂」を一冊の本にまとめました
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