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コロナでアメリカは食肉不足…日本のファミレスやファストフードはどうなる?

―[コロナ後の未来]―
 新型コロナウイルス感染拡大の長期化に備えて、政府は国民に対して「新しい生活様式」を取り入れるよう、呼びかけている。「もう以前の生活には戻れない」と言われているが、収束した後の世界はどう変わってしまうのか。
コロナ後の未来

新型コロナの感染拡大により、アメリカ各地で食肉不足に陥っている。棚にほぼ商品がない状態だ(アリゾナ州のウォルマート)

穀物・食肉の輸出規制で外食・中食が一変する!?

 コロナ禍による世界的な食料不足が囁かれ始めている。世界最大の小麦輸出国であるロシアをはじめ、インドやウクライナ、ベトナムなど穀物の主要輸出国が揃って国内供給を優先するため穀物の輸出を停止・制限しているからだ。  一方、米国では多くの食肉工場で閉鎖・稼働停止が相次いでおり、サプライチェーンが崩壊寸前。スーパーでは食肉の販売制限を余儀なくされ、ウェンディーズでは全米の2割の店舗でビーフ製品の販売を停止する事態になっている。  こうした状況のなか、日本の食料市場はどう変わるのか。資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表はこう指摘する。 「コロナ禍で経済活動や物流が寸断されたことで、世界の食料市場では『不足』と『過剰』が同時発生しています。つまり、輸入に頼っていた業務用の安価な食材は不足し、輸出のための付加価値の高い高級食材は過剰・廃棄を余儀なくされつつあるのです」
柴田明夫氏

柴田明夫氏

 柴田氏は「日本も決して安心してはいられない」として、食料不足も起こりうると警鐘を鳴らす。というのも、日本はカロリーベースで食料の6割以上を海外に依存しているばかりか、生産現場の脆弱化により農業総産出額は’17年をピークに減少しており畜産、野菜、コメなどいずれも生産量は頭打ちの状況なのだ。 「例えば、タマネギは中国産が市場を席巻していますが、今回のコロナ禍で輸入が一時ほぼ止まってしまった。日本の購買力の減退、国際情勢の急速な変化、地政学リスクの高まりなどを複合的に考えると、安定調達に対するリスクは高まっています」(柴田氏)  一方、流通アナリストの渡辺広明氏も、食材の不足や値上がりが外食産業に影響すると見ている。 「日本のスーパーを調査すると、コメや野菜は国産品が多い一方で、食肉とその飼料は輸入に頼っている部分が多い。コロナ禍が長引けば値上がりや不足する可能性も出てくる。海外産の食肉や魚介類を多用するファミレスやファストフード、回転ずしに影響が出るのは確実でしょう。しばらく採算が取れるメニューを考えるなど試行錯誤が続くと思いますが、それでもダメなら値上がりは避けられない」

渡辺広明氏

 加えて、渡辺氏は中食産業の様相も変わってくると指摘。これまで中食はスーパーやコンビニの独壇場だったが、飲食店のテイクアウトやデリバリーが増えることでレッドオーシャン化するからだ。 「生産者から消費者への直販が増加するなど国内の物流の在り方も変わるはず。コロナ禍をきっかけに、食を支えるシステムが再編されていくかもしれません」  不足だけでなく過剰という食料の不均衡を生み出しているコロナ禍。我々の食卓事情も大きく左右されていきそうだ。 <コロナ以外でも食料には不安要素が!> ▼バッタの大群発生……1月にアフリカ東部で大量発生したサバクトビバッタの大群が東南アジアにまで拡大危機
コロナ後の未来

アフリカ東部で昨年に大量発生したバッタが今や中東・中国付近にまで到達。各地で深刻な農作物被害をもたらしている

▼世界的な干ばつ……温暖化に伴い世界各国で干ばつが多発。農業や畜産業が壊滅的なダメージを負う原因に ▼穀物在庫の中国偏在……世界の穀物在庫の過半は中国にある。中国を除いた世界の在庫量が少なく警戒が必要 ▼世界的な移民排斥……先進国では農業の主要従事者は移民。締め出しが進むと食料危機を招く要因になりうる 【柴田明夫氏】 ’51年生まれ。東京大学農学部卒。丸紅経済研究所長、内閣府経済財政諮問会議「2030年展望と改革タスクフォース」委員など歴任。著書に『扼殺される日本の農業』(エフビー) 【渡辺広明氏】 ’67年生まれ。流通アナリスト。「やらまいかマーケティング」代表取締役。『スーパーJチャンネル』(TBS)、『バイキング』(フジテレビ)などでコメンテーターとして活躍中 <取材・文/週刊SPA!編集部 写真/Shutterstock>
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