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夏の甲子園の珍事件簿。同一校名対決、誰も気づかず4アウト…

④同一校名対決が実現?

 高校野球で似たような感じの校名というと桐蔭(和歌山)や大阪桐蔭、そして桐蔭学園(神奈川)が挙げられるが、ここから挙げる例はまさに同一校名同士の対決である。それが三重の海星と長崎の海星との対戦だ。そもそも長い歴史を数える夏の甲子園で三重県と長崎県の対決はわずか2回しかないのだが、何の偶然か、その2度ともがこの“海星対決”なのだ(ちなみに兄弟校ではない)。  この対戦のときスコアボードの表示は三重側が“三・海星”、長崎側が“長・海星”となっていた。  また、中にはこういう意味でのレアケースも。それは’57年第39回大会の2回戦での組み合わせでのこと。なんと埼玉県立大宮高校と宮崎県立宮崎大宮高校が対戦することになったのだ.試合は延長10回のすえ、7-6で埼玉の大宮が競り勝っている。

⑤たった1度の“智弁”対決

 高野連はとにかく“華美”を嫌がる。興行ではなく教育の一環だから、というのがその理由でもあるのだが、それゆえにユニフォームのデザインや色も、あまり派手なものは認められていない。  そのために困るのが兄弟校や同じ系列校同士が対戦するケースだろう。ユニフォームが似通っているからだ。 そんななか、“ここまで同じユニフォーム?”という両校の対戦が夏の甲子園でたった1度だけ実現したことがある。’02年第84回大会3回戦での智弁学園(奈良)対智弁和歌山がそれだ(同じ関西圏内の高校なので、これより前に地区大会での対戦経験はあった)。  もうすでにお分かりのようにこの2校は同系列の兄弟校。ただそういった兄弟校の中でもこの2チームのユニフォームは高校野球ファンの間でもかなりの“激似”で有名で、そのデザインや色調がまったく同一。違うのは左腕の校章の一部と県名、胸にある“智弁”という文字の大きさくらいなため、非常に珍しい同一ユニフォーム対決となったのである。  実はかつて智弁対決が実現したら、“どちらかがいつもの白ではなく、朱色の帽子を被る”という噂がまことしやかに囁かれたことがあったが、実際は両校とも白い帽子で試合に挑んだのだった。 ====  本当の大事件から珍事件、プチ事件まで選りすぐってお届けしてみた。だが、100年を超える長い長い歴史を持つ大会だけに実は今回語れなかった事件はまだまだある。もし、機会があればそのいくつかをお届けしたい。<文/上杉純也>
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