ライフ

『風の谷のナウシカ』のキャラっぽい駅も。全国の妙な駅たち

―[シリーズ・駅]―
 都市部や地方などの立地、複数の路線が乗り入れているか否か、路線が高架か非高架によっても異なるが、鉄道駅には似たような構造の駅が多い。しかし、なかには「なぜ?」と首をかしげたくなるような変わった駅があるのも事実。今回はそんな個性的な駅を紹介したい。

駅舎も構内も亀だらけ

亀甲駅

亀甲駅

亀甲駅

インパクトがすごい

 一見、何の変哲もないローカル線の駅のようだが、駅舎の屋根からはニョキッと大きな亀の頭が。ここはJR津山線のその名も亀甲駅(かめのこう。岡山県美咲町)。1995年に改築された現駅舎は、建物全体を大きな亀に見立て、屋根もよく見ると甲羅に似せて六角形になっている。  しかも、亀の目の部分はよく見ると時計になっており、訪問したときは日中で確認できなかったが夜になると街灯のように光るとか。ただし、地元出身の男性は「亀の怪獣みたいで、子供のころは怖くて直視できなかった(笑)」と話す。
駅ホームの亀の像

駅ホームの亀の像

 駅名の由来となったのは、地元にある亀の甲羅のような形をした奇岩「亀甲岩」。ホームや駅入口には複数の亀の像があり、さらに駅の構内では本物の亀(クサガメ)まで飼育されていた。
駅で飼っている亀と願い事が書かれた黄色いハンカチ

駅で飼っている亀と願い事が書かれた黄色いハンカチ

 地元の美咲町は養鶏が盛んで、卵かけご飯が名物。黄身の黄色な幸福をかけ合わせたのか“黄福の町”としてPRしており、その一環として黄福の黄色いハンカチプロジェクトを実施。映画『幸せの黄色いハンカチ』の舞台は北海道なので直接関係はないようだが、亀甲駅では待合スペースの壁際に吊るすことができる。1枚100円と安く、訪れた記念に願い事をハンカチに書き込む人も多いそうだ。
駅舎内。奥が食堂『MICRO(ミクロ)』

駅舎内。奥が食堂『MICRO(ミクロ)』

 そんな亀甲駅には『MICRO(ミクロ)』という食堂があり、名前に反してどのメニューもデカ盛り。駅舎よりもここを目当てに来る人のほうが多く、鉄道ファンの間でも知る人ぞ知る駅グルメだ。  列車は大体1時間に1本程度なので次の電車を待つ間に食事をするのにちょうどいいかもしれない。

世界的建築家が手がけたUFO型駅舎?

くびき駅

くびき駅

 一方、北越急行ほくほく線のくびき駅(新潟県上越市)の楕円形のメタリックな駅舎はちょっと近未来的。1997年に開業した同駅のフォルムはまるでUFOのようで、『機動戦士ガンダム』に出てきそうなジオン軍のモビルスーツの頭部っぽくも見える。
駅入口

駅入口

UFO型駅舎の内部

UFO型駅舎の内部

 駅舎の説明板には《大きくない建物にボリューム感を持たせ、従来の駅には無いエネルギーを発信して、その存在をアピールするためのもの》とあり、確かに建物内は思っていた以上に広々とした印象がある。  周囲には田んぼが広がり、農村の田園風景とは明らかに一線を画す自己主張っぷり。筆者と同じ列車で、この駅を見るために下車した鉄道ファンの青年は「地球に不時着したUFOみたいですね…」と話していたが、まさに言い得て妙。そう聞くと本当に宇宙エネルギーのような得体の知らない何かを放っている気がするから不思議だ。
太陽系の惑星が描かれた中央のガラス

太陽系の惑星が描かれた中央のガラス

 実際、中央のガラス部分をよく見ると、太陽系の惑星の配置図が細かく描かれており、ほかにも木星や土星の衛星、ハレー彗星まである。かなりのこだわりようだ。  ちなみにくびき駅の駅舎を設計したのは、世界的建築家の故・毛綱毅曠氏(もづなきこう)。前衛的な建築物を多く残した人物で、芸術性と利便性を実現させたアートな駅といえるかもしれない。
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ナウシカの王蟲みたいな駅
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