恋愛・結婚

引きこもりの新郎の兄、家出した新婦の父。結婚式に参列した結果…

料理を一口も食べない兄、アロハシャツの新婦父

新郎image 和樹さんの心配は、式当日まで続いたようだ。 「兄にも、結婚式の招待状を送りました。出席や欠席の連絡もなく、来るかどうかわからないため、当日は、兄が来た時用、来なかった用の座席配列を準備しました。驚いたことに、式に出席してくれたんです。でも、一切コース料理は一口も食べなかったそう。後から友人からその事実を聞かされ、背筋が凍りました。式の最中も、テーブルにローソクの点火に回った時にも、一言もしゃべらず無表情。そのまま式が終わると帰ってしまいました。僕の同僚らも、今回の式で初めて兄の存在を知って、驚いたようです」  和樹さんだけではなく、新婦である幸恵さんも、気が休まらなかったそうだ。 「妻の父のために、新郎側の負担でモーニングを用意していたのですが、『着たくない』の一点張り。普段着のアロハシャツで現れ、お祝い金なども一円も払わない始末。これには妻も『無銭飲食だ』と激怒していましたね。  妻も妻で、積年の恨みが溜まっていたようで、『父への手紙』には一切父のエピソードが出てこない。内容を知らされていなかったので、僕も焦りました。そんな前振りもあってか、今度は、花嫁からの父への花束贈呈で、花束を「いらない」と義父が拒否して軽い押し問答に。周りも冷や汗をかいたと思います」  まさに一触触発の披露宴。血縁者は冠婚葬祭には欠かせないため、避けては通れないのを身をもって感じたそう。 「妻が、新居の住所を知らせると父がお金の工面を願いに来るというんです。僕からしたら、まさかそこまで…と思ったのですが。仕方ないので、父のテーブルに置かれているパンフレットだけ、新居の住所を載せない仕様にするなど、色々と気をつかい疲れました。こんな苦労をしてまで挙げた式ですが、妻はウエディングドレスを着られたというのは嬉しかったみたいで、挙げてよかったです」  花嫁が主役と言われる結婚式。準備などに苦労が伴うが、一旦、式が終わればよい思い出に代わるのかもしれない。<取材・文/阿佐ヶ谷蘭子>
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