スマホしか持たない学生とパソコンを使う学生「無視できない学力差」/佐藤優
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今日私たちが立ち会っているのは、超デモクラシーの勝利という事態である。そこでは、大衆が法に対する情熱のないまま直接行動に訴え、物理的圧力をもって自分たちの望みや好みをごり押ししている。これらの新しい状況を、あたかも大衆が政治にうんざりして、専門家にその実践をまかせ切ってしまったのだと考えるのは間違いである。
(中略)大衆はつまるところ、政治家という少数者が、たとえ欠点や傷はあろうとも、自分たちよりいくぶんかは政治問題を理解していると考えていた。ところが、いまや大衆は、自分たちがカフェーで話題にしたことを他に押しつけ、それに法としての力を付与する権利があると信じているのだ。私には、多勢の者が直接支配するようになった今のような時代が、歴史の上で他にもあったとは思えない。(『大衆の反逆』73頁)
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私もオルテガのこの見方に共感します。SNSを用いた衝動的な発信が集積されることによって、無責任な多数者による直接支配がインターネット空間では成立しやすいです。その結果、市民社会の基盤が崩れ、独裁の土壌ができることを私は恐れています。だからSNSでは一切発信しません。
★今週の教訓……SNSは独裁の土壌をつくりかねない’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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『生き抜くための読書術』 ウクライナ危機、元首相暗殺事件、コロナ社会、貧困etc. 分断社会を打破する書物とは? |
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