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「逆境を乗り越える力を身につけたい」女性24歳の悩み

 “外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

逆境を乗り越える力を身につけたい

インテリジェンス人生相談

※写真はイメージです

★相談者★ 匿名希望 会社員 女性 24歳  逆境の乗り越え方、今後のキャリアの積み方について伺いたいことがあります。私は2年ほど前からそれまで十数年住んでいた千葉を離れ、北海道で酪農業に従事しております。  最初に勤めた職場で、私はほかの人と協力して働くことがどうしてもできませんでした。空気を読んだり、周りを見て仕事をすることができませんでした。また、コミュニケーションをうまく取れない、「常識がない」と言われることもありました。やがてストレスを溜めるようになり、体調を崩し、その職場は1年で辞めました。  1年ほど前から今の職場で働いておりますが、以前の職場と同じようなことを繰り返しております。自分は発達障害ではないかと疑い、精神科を受診したのですが、「そういう傾向はあるが、発達障害ではない」と診断され、現在、精神安定剤を処方されております。今の職場も辞めて、その後は千葉に帰る予定です。  千葉に帰ったらゆっくりと体を休めながら病院に通い、再び北海道で酪農業に従事するために英気を養いたいと考えております。私のこのような考えはどうお思いになりますか、ぜひ佐藤さんにご意見を伺いたいです。また、今の職場は退職まであと1か月ほどなのですが、働くにあたっての心構え、アドバイスなどあれば伺いたいです。 ◆佐藤優の回答  あなたが抱えている問題には社会構造の問題とあなた自身の個性とが複雑に絡み合っています。この点を理解することが重要です。ロスジェネ(失われた世代)の人々の内側からの叫びを作家の雨宮処凜氏が見事に表現しています。 =====  2007年11月5日の毎日新聞に私が書いた「フリーター論壇」という原稿である。フリーター論壇は、ロスジェネ論壇とほぼイコールだと思ってもらえばいい。一読して驚いたのは、12年前、フリーター問題はまだまだ「労働問題」という認識すら薄かったということだ。以下、引用だ。 「これまで、フリーター問題は、当事者以外から『個人の心の問題』として分析され、批評されてきた。『やる気がない』『自由でいたい若者』といった一方的なイメージと、『夢追い系』『モラトリアム系』などという分類。しかし、当事者によるフリーター論壇の大きな特徴は、この問題を『心の問題』に倭小化せず、『労働の問題』『雇用の変化の問題』『産業構造の問題』『経済のグローバル化の名のもとに進められる新自由主義の問題』、そして『生存』そのものを巡る問題としてとらえ返されていることだ」(中略)  ここには、まっすぐな怒りがある。当時の他の原稿やインタビューを読み返しても、怒りとともに、眩しいくらいの「希望」がある。今、なんとかすればまだ間に合う。私たちは「人並み」になれる。そんな思いがあって、私たちは多くの「可能性」を手にしていた。(中略)  私を含め、10年以上前、論客の多くは「政治」を信じていた気がする。少なくとも、高度経済成長時代に子ども時代を過ごした私は、「まさか政治が自分たちを見捨てることはないだろう」くらいの、この国に対する信頼を持っていた。  しかし、この原稿を書いてから今に至るまでの13年で、その信頼は粉々に打ち砕かれた。みんなは13年分、歳を取った。私たちは若者ではなく、中年となった。(『ロスジェネのすべて』21~23頁) =====
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ロスジェネは、個人の心の問題ではない
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