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リオ金のタカマツ、14年目のペア解消。“余りもの”コンビの絆と素顔

 藤井さんは日本バドミントン初の快挙となる五輪メダリストとなった先輩でもある。リオ以来、モチベーションに悩んだという高橋の気持ちにも寄り添い、メダリストとしての葛藤についても誰よりも理解した。会見でも高橋が明かしたように「何かと気にかけてくれて、相談したり、心の支えとなってくれたりした先輩」だ。藤井さんは続ける。 「オリンピック後、私もプレッシャーに苛まれました。メダリストとしての使命感や責任感があるから、選手は周りの期待に応えたい、絶対に勝たないといけないって追い詰めがちなんです。私も経験しているので、高橋にも会った時には、あえて『よく頑張ってるねー』『負けても全然大丈夫だよ』って少しでも彼女たちが気楽になれるよう、意識的に声をかけていました」 「やると決めたらとことん追い込む」高橋と「強くなりたい気持ちが誰よりも強い」松友は、オリンピック連続出場を目指して、休むことなく走り続けたという。それでも、勝ち続けることは難しく、今回の決断に至った。けれども高橋は「自分たちがメダルを獲ったからこそ日本のバドミントン界が盛り上がった。それだけのことをしたんだなってようやく実感しています」と胸を張り、「リオからの4年間は想像以上に難しい時間になったけれど、やってみなければ、わからなかったこと。とても大切な時間ですべての過程が何よりの思い出」と松友は振り返っている。  今後の2人に期待を込めて何か伝えるとすればとの問いに藤井さんは、「まずは高橋には少し休んで、好きなことをしてほしい。落ち着いたら、バドミントンに貢献できることを何か一緒にできたらなと思います」。 「松友については、あんなにバドミントンが好きな人はいない。きっと彼女は高いレベルでないと満足できないと思いますが、とことん納得が行くまで、何歳になっても心の声に従って続けていってほしいなと思います」とエールを贈った。  タカマツペアの13年間の軌跡を、オリンピックTOPスポンサーのSK-IIがSF仕立てに映像化した。2人の絆や「勝つことだけが全てではない」「負けても楽しい」といった原点が壮大な世界観で描かれているので、合わせてチェックしてみてほしい。
取材・文/松山ようこ 写真提供/日本ユニシス
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