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24時間店員不在の「ムジンノフクヤ」を発見。万引きされないか聞いてみた

多い時で1日に2万円ほどの売り上げ

ムジンノフクヤ

客からの声は「連絡帳」を経由で拾う

 このようにメリットも多いが、接客がないというデメリットもあるはずだ。まず思いつくのが、客の生の声が届きにくいということ。それについては「券売機の横に、お客さんが書き込める連絡帳を置いてるんですよ。ものすごくアナログなやり方ですけど(笑)」と平野さん。連絡帳には、多くの書き込みがされ、お店からの返事も逐一なされていた。  また、この1か月の書き込みについて「連絡帳に書き込まれた要望で、メンズをもっと入れて欲しいという声が多かったのが意外でした」と続ける。顧客の要望を連絡帳という形で汲み取れることで、品揃えも変化させていけるだろう。これはお店にとってのメリットにもなっているようだ。  そうした工夫と話題性が奏功してか、同店は多い時で1日に2万円ほどを売り上げることもあるという。500円などの激安商品もあるため、20~30着は売れていることになる。人件費を削減した中で、確かな売り上げが取れているといっていい金額だ。

万引き被害にはあっていないのか?

ムジンノフクヤ

店内には複数の防犯カメラが

 もうひとつ懸念されるのが、無人ならば「万引き」をする人が頻出するのではないかということ。これについて平野さんは「正直、この1か月で一度だけ万引き被害にあいました」とのこと。もちろん、お店側としてもそのリスクは織り込み済みで、比較的狭い店舗だがそれに似つかわしくない複数台の防犯カメラが設置されていた。  さらに「開店前から、立地とお店の作りも防犯について考えたものでした。商店街なので、お店の前の人通りが結構ありますし前面をガラス張りにして、外を通る人から店内が見えるようにしています」とも。同店が野方の街に根付いていくことで、街の人がこの店を守ろうとする目が、さらに防犯効果を高めていくことになる。  そればかりではなく「この先の防犯対策として、防犯カメラの映像をYoutubeに出していこうと考えています」と同氏。そうなれば、この店を見守る目は街の人だけでなく、全世界に広がることになる。無人販売は基本的には性善説でやっていくしかないが、今後こうした対策でセキュリティも高まったお店になりそうだ。  開店から1か月。まだ成功も失敗も判断するには早いが、あらゆる可能性が秘められていることは間違いない。ムジンノフクヤのこの先の進化に引き続き注目していきたい。<取材・文/Mr.tsubaking>
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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