カーライフ

巨大化したBMWの鼻穴はラーメンで考えればわかる

BMWの新型4シリーズクーペ「M440i xドライブ」

 ヨロヨロしながらまず乗ったのは、BMWの新型4シリーズクーペ「M440i xドライブ」。  新型4シリーズクーペは、縦に巨大化したキドニーグリルの是非をめぐり、カーマニアの間で議論が沸騰しております。「下品すぎる!」とか「BMWは終わった……」という守旧派に対して、「いや、これはアリだ!」「キドニーグリルはもともと縦長だったし、カッコイイ!」と主張する改革派が真っ向対立。それは、「フェラーリとランボルギーニ、どっちがエライ」と同じくらい不毛な水掛け論となっておりました。  結果は、改革派の勝利の気配が濃厚です。守旧派代表だった担当Kも、初めて実物を見、「意外と違和感ないですね」とあっさり降参しました。一瞬ギョッとするものの、このバカデカい鼻の穴がもたらす刺激が、徐々に快感になってくるのです。
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BMWのグリルがデカすぎるとかっていう議論は、カウンタックの前では無意味だと悟りました。グリルの中にライトがついているってぐらいデカくしてくれないと驚きませんよ(担当K)

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M440i xDriveは、最高出力387馬力の3リッター直6ターボエンジンを搭載する4WD。お値段は1025万円。カウンタックより断然安くて、とっても速くて、後ろもよく見えて運転しやすい、いいクルマです

 飽和市場たる自動車業界では、ラーメン業界のように、味や見た目にパンチがないと振り向いてもらえない。スポーツカーが素のラーメンでどうする! むしろこれくらいじゃまだ甘い! いまだにカウンタックを上回るパンチを持つデザインが出ないことが問題だ!

最新のBMWはラクすぎてキケン!

 で、乗り味はどうかというと、すべての操作が羽毛のように軽く、小指でハンドルを3cm切っただけでカーブを曲がります。特にスポーツモードにすると、ハンドルの効きがよりシャープになり、真剣に曲がりすぎてしまいます。3リッター直6ターボエンジンも、羽毛のように軽やかに加速します。  すべての操作が激重の怪力モードしかないカウンタックから乗り替えると、最新のBMWはラクすぎてキケン! スポーツカーの運転がこんなにラクでどうする! オレはカウンタックを運転するために毎朝腕立て伏せ始めたのに! まあ、操作がラクなのは最新のランボルギーニも同じなのですが、そのぶん、せめて顔だけでもギョッとさせないとイカン。BMWは正しい!  でも、カウンタックを買ったばかりの私にとって、M440iはスポーツカーとしてはまったく中途半端に感じました。私は感覚が狂っているので聞き流してもらっていいのですが、これに1000万円出すなら、同じくらいの金額で買えるフェラーリ328が絶対にオススメです。
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BMW M440i xDrive クーペ

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新型2シリーズに試乗
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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