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矢口、ミキティ、加護ちゃん。ハロヲタはメンバーの離脱とどう向き合ってきたのか

おい、見たか? 鞘師の動きを

──ダンス経験なんて皆無のヲタクでも、別格だと気づくくらい上手ということですか? 明大:もう一発でわかりました。ライブ後のヲタ飲みでも「おい、見たか? 鞘師の動きを」って話題騒然でしたから。奇しくもあの当時は東日本大震災で国民感情も暗く落ち込んでいたんだけど、鞘師の存在によって日本が明るく照らされたという部分は大きかったんじゃないかな。 ピストル:でも、思えば『LOVEマシーン』の頃は「ダンスがキレているメンバーは?」などという見方で誰も応援していなかったと思う。そう考えるとヲタの見る目も確実に肥えてきているんですよね。もちろんメンバーのスキルも全体的に上がっているんですけど。 劔:今は中学校でダンス授業が必修化になっているじゃないですか。我々みたいなオッサン連中と違って、今の若いヲタはダンスを見る目もシビアだと思うんです。そういう土壌があるからこそ、ハロプロが若い世代から注目されているんだと思いますし。 ピストル:クオリティ的なことに関していうと、プラチナ期の頃もダンス的に高レベルなことはやっていたと思う。だけど当時の僕たちは「それよりも『LOVEマシーン』みたいなパーティソングをもう一度やってよ。こんな辛気臭い曲じゃなくてさ」みたいなことを言っていましたからね。
明大店長

鞘師の存在によって日本が明るく照らされた

ここまで来たら死ぬまでハロヲタ

明大:モーニング娘。は24年目を迎えましたけど、本当の意味での黄金期ってせいぜい3年くらいだったのかもしれない。主要メンバーが抜けるたびに「もうダメだ……」ってヲタは絶望したし、正直言って空席が目立つ時期もありましたからね。だけど今こうやって新しいファン層も取り込んでハロプロが盛り上がっているのを見ると感慨深いですよ。ヲタを長く続けてきてよかったなとしみじみ感じます。 劔:『あの頃。』が映画化されるということで、当時を知る人たちが本当に喜んでくれているんですよ。原作本がベストセラーだったわけでもないのに、すごくありがたいことだと思っています。だから今はハロプロを好きな人生でよかったなと改めて感じていて……。『あの頃。』は僕なりのハロプロに対する恩返しですから。ここまで来たら死ぬまでハロヲタを続けると思うし、ハロプロを通じた輪は今後もどんどん広がっていくでしょうね。<取材・文/小野田 衛> +++++ 劔樹人◎松浦亜弥のMVを観たことで人生が一変。「神聖かまってちゃん」等のマネージャーを経て、「あらかじめ決められた恋人たちへ」や、「和田彩花」のベーシストとして活躍する。ほかに漫画家の顔も持ち、近著に『敗者復活のうた。』(双葉社)。 ピストル◎モーニング娘。黎明期から「娘。楽宴」「亜依国精神」といったファンサイトを運営(のちに日記サイト「なれのはて」も開設)。守備範囲はハロプロのみならずアイドルカルチャー全般に及び、その鋭い批評眼は大きな注目を集め続けている。 明大店長◎辻希美原理主義者。テキストサイト運営や度重なる遠征など度を越したヲタ活動が相手女性にバレ、結納直前に婚約破棄された過去を持つ。映画『あの頃。』で登場する劔と仲間たちの集団「ハロプロあべの支部」とは昵懇の間柄だった。
あの頃。

(C)2020『あの頃。』製作委員会

『あの頃。』 2021年2月19日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか 全国ロードショー 配給:ファントム・フィルム (C)2020『あの頃。』製作委員会
出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。
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