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35歳で会社を辞め海外へ。43歳で資産3000万円を突破できたワケ

経済的自立と早期リタイアは日本人に合うのか?

FIRE

イラスト/サダ

 日本での現実的なFIREの可能性を探ってきたが、資産運用に詳しい実業家の内藤忍氏は、経済的自立を達成すれば、フリーランスなど会社に縛られない生き方が可能になるという。 「業務委託契約が多くなれば、実力がある人の労働の成果は、賃金に反映されます。仕事の境界線が明確になり、緊張感も生まれるので全体の生産性向上は間違いない。これまでのようにデキる人が生産性の低い人のカバーをしなくてよくなります」  ただ、経済的自立後の「完全リタイア」には否定的だ。 「経済的自立は、食べていくための『ライスワーク』から解放される点で意義があります。しかし、リタイア後には消費行為でしか社会との接点がなくなり、達成感や自己承認欲求が満たされなくなる人も多い。それを避けるためにも自分の夢や目標のための『ライフワーク』を追求して、ある程度働くことは必要だと思いますね」

多くの人が投資に参加することで経済は活性化する

 仮に日本のサラリーマンの大多数が「FIRE」を目指し、節約や投資を行うと国内経済には影響はあるのだろうか。 「節約が縮小均衡に繋がるとは限りません。本当に必要な、意味のあるものをみんなが買うようになれば変なものを作る会社が減り、いい商品やサービスを提供する会社が残っていきますから、社会的にもプラスの効果を与えるはずです」  また、多くの人が投資に参加することで経済は活性化すると内藤氏は指摘する。 「投資とは社会的に意義のあるところにお金が集まり、それによって経済が成長していく仕組み。投資をする人たちの総意によって経済社会の方向性が決まるので、FIREは、日本経済にとってかなりポジティブな要素です」 「ライスワーク」から「ライフワーク」への転換が肝要となってくる。心の余裕と生きがいのある世界が、FIREの先に待っているのだ。
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内藤 忍氏

【内藤 忍氏】 マネックス証券の創業などを経て現在、株式会社資産設計実践会代表。著書に『初めての人のための資産運用ガイド』など40冊以上 <取材・文/武馬怜子・沼澤典史(清談社)>
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