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野草で食いつなぐ日雇い労働者。週一ペースの採取は「スーパーに行くノリ」

ウィズコロナ時代、突然の失職や休職を余儀なくされるリスクが顕在化。いきなり無一文になってしまったら、一体どうやって生き延びればいいのか――。日雇い労働者として働きながら、野草を採取して生活している男性に取材した。

野草で食いつないで米はアメリカ産

無職男のサバイバル術・日雇い労働者

写真はイメージです 撮影/杉原洋平

 郊外の集合場所に自転車で颯爽と現れたのは、月に10日ほど派遣の日雇いで働き、月収は約15万円だというたむりんさん(54歳)。「多くて1万5000円程度」という1か月の食費にしては低い金額の内訳には、一般人が手を出さないライフハックがあった。 「野草を採取して食費を浮かせています。体調を崩して前職の不動産関係の仕事を退職してから、仕事への意欲がなくなり、現在はあまり働きたくない。生活のために日雇いの仕事でお金は稼いでいますが、削れる食費は削っていこうと思い立ち、野草の採取を始めました。道に生えている野草なら0円で手に入りますからね」  たむりんさんが野草採取を始めたのは5年ほど前。もちろん最初は知識がない状態からのスタートだったが、スマホを駆使すれば問題はなかったという。 「ネット上には、野草採取で生活する人のSNSなど、多くの情報があるので野草の特定は簡単です。地域や季節によって採れるものが替わるので、それらの情報を参考にしつつ、実際に採れたものは記録して年間のスケジュールを作り上げました。特別なスキルは必要なく、ネットや書籍で知識さえ仕入れてしまえばいい。これほどローコストな食材はないです」

生き抜くための食生活

 野草を採取するのはあくまで食料確保が目的なので、できるだけ効率的に採取したいと言うたむりんさん。決して遠出したりせず、自分の生活圏で採取を行うことが大切だと語る。 「狙う野草はできるだけ家の近所に生えていて、多くの量を簡単に採取でき、アク抜きの必要がなく、下ごしらえに手間がかからないもの。加えて薬効があればなおよし。シーズンにもよりますが、今は週に一回くらいのペース。スーパーに買い物に行くようなノリです」  もちろん、不法侵入にあたるので、他人の私有地での採取は厳禁。たむりんさんは、路上や公園などの公有地で採取を行う。 「犬や猫などの糞尿はどうしても気になるので、重曹で汚れを落としてから調理にかかっています。野草は味が濃く、クセが強いものもありますが、『市販の葉物野菜に比べると栄養価が高い』と本で読み、健康面でも意識して食べるようになりました」
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炭水化物は業務スーパーでまとめ買い
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