更新日:2021年09月29日 21:18
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総裁選で何が起きていたのか/倉山満の政局速報

議員の人望は厚い岸田文雄vs.発信力は抜群な河野太郎

 そして出馬したのが、発信力ゼロだけど議員の人望は厚い岸田さんと、発信力抜群だけど議員の人望ゼロの河野太郎さん。野田聖子さんは「参加することに意義がある」だけど、高市早苗さんは複雑。
河野太郎氏

(画像:河野太郎氏公式サイトより)

 普通に考えて、河野対岸田の一騎打ちです。しかし下馬評では、河野さんは党員票の6割、控えめに言って55%くらいは取ると思われていました。この場合、議員票の40~45%を獲れば当選。  そこで、高市さんを出馬させて1回の総選挙で決着がつかないように持ち込もうと考えたのが安倍さん、と言われています。  つまり、1回目の投票で  党員票:1位河野、2位岸田、3位高市  議員票:1位岸田、2位河野、3位高市  合計 :1位河野、2位岸田、3位高市  になれば「決選では2位3位連合で岸田逆転」という作戦でした。  しかし、そんなこと考えるなら、最初から岸田さんなり高市さんを派閥の大連合で応援すれば1回の投票で河野さんに勝てたと思うけど、やらなかった。  構図としては  河野=麻生派他各派の若手の他、菅、二階、森山、石破  岸田=岸田に加え、細田・麻生・竹下各派のベテラン  高市=各派の「心は安倍派」の人たち  ここで難しい戦いを強いられたのが河野さん。

長引くほど失速する河野氏と伸びる岸田氏。気軽な高市氏

 改革派のイメージだから党員に人気があるけど、それをやると議員の支援が得られなくなる。どっちかを立てればどっちかが逃げる。  一方で岸田さんは、派閥の支援を増やしつつ、露出を増やせば党員票は増える。  総裁選をやればやるほど河野さんは失速、岸田さんが伸びた。  ここで気軽な戦いが高市さん。今回いきなり総理になったって何もできない。目的は「将来の総理候補として認知させること」。大成功。  一部の変な支持者が「高市さんは女神様!」とか言いながら他の候補の悪口を拡散していたけど、高市さん本人は「そういうのをやめてください」とピシャ!  去年のアメリカ大統領選挙で「トランプが絶対に勝つ!」と絶叫してた人が「リベンジ」とばかりに「高市総理で日本救国」とか夢を見ていたけど、現実は違う。  結果は、  党員票:1位河野、2位岸田、3位高市  議員票:1位岸田、2位高市、3位河野  合計 :1位岸田、2位河野、3位高市  岸田256対河野255  1票差だろうが何だろうが、1位は大きい。河野さんは党員票と合計で1位になって「党員の意思を無視するのか」と批判する気だったけど、それもできない。
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決選投票では圧勝。しかし、総裁選はゴールでも何でもない
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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