エンタメ

駆け出し女優・見上愛「渋谷のスクランブル交差点で絶叫した」底抜けの表現力

渋谷のスクランブル交差点で大絶叫 一般人の視線が突き刺さる

見上愛 衆人環視の中、小野とお互いの感情をぶつけ合う場面は渋谷のスクランブル交差点付近を舞台にゲリラ撮影。撮影だとは気付かない一般人の視線が突き刺さる中で大声を張り上げた。 「自分で叫んでおきながら“私ってこんな根性あるんだ!?”とビックリ!」と照れ笑いも「逆に経験値のなさがプラスに働きました。当時は映画の一般的な撮影スタイルも知らなかったので、これが普通だと思っていましたから。今だったらできなかったかもしれません」とビギナーズラックに感謝する。  感情を消費するエモーショナルなシーンであり、ゲリラ撮影ゆえに一発本番が求められる緊迫した状況。それだけに「今でもセリフが言えるくらい、何度も脚本を読み込みました。セリフ量も結構あったので、自分がセリフを忘れてNGを出すなんてありえない。言葉が体に馴染むくらい頭に叩き込み、何度も自分に“大丈夫!”と言い聞かせながら」と緊張しきりだったという。  ならば前日はナーバスになり眠れず、食事も喉を通らなかっただろう。しかし「そんな状況でもしっかり寝られました。朝は普通に目覚ましの音で起きて、朝食もトーストにバター&ハチミツを塗って食べ、お昼ご飯もしっかりといただきました!」と威風堂々。それもそのはず、見上はデビュー前から自己表現をライフスタイルにしてきた人だからだ。

寺山修司、別役実の作劇の世界に触れる

見上愛 中学時代に演劇にハマり、高校では寺山修司や別役実の作劇の世界に触れた。演劇部では脚本執筆や演出も経験。現在は芸術系の大学に通い、クリエイターとしての資質に磨きをかけている。「中学・高校と演劇だけにとどまらず、ハンドボールやバンド活動にも熱中。漫画に描かれるような王道の青春時代でした」と旺盛な好奇心をうかがわせる。
映画『プリテンダーズ』場面写真

(c) 2021「プリテンダーズ」製作委員会

 『きれいのくに』『プリテンダーズ』、そして初主演映画『衝動』が公開待機中と、今年2021年が女優としてのスタートダッシュの年になりそうだ。 「大学に入学した時、私の中には“いざとなったら就職でもすれば…”という甘えがありました。しかし大学3年生になり、将来を真剣に考えたときに“何を甘えているんだ?俳優業こそ今一番やりたいことだろう?”と自分と向き合うことができました。2021年はある意味で、かなりの覚悟を決めた年」と実感を込めながら、「そんな気持ちで改めて『プリテンダーズ』を観ると、もしかしたら当時からすでに進むべき道を決めていたのかな? と感じるところもありました」。  初々しさの中にあるキラメキが透けて見えた。その輝きがスクリーンを彩っているのは確かだ。 取材・構成:石井隼人
次のページ
予告編を見る
1
2
3
1984年生まれ、映画好きフリーライター!インタビュー、取材、レビュー、オフィシャルカメラマン、オフィシャルライター
…なんでもやるのでいつでもどこでもなんでもお仕事の御用命お待ちしております!映画パンフレットも結構書いてます!買ってください!

記事一覧へ
映画『プリテンダーズ』
10.16(土)ユーロスペースほか全国順次公開
出演:小野花梨 見上 愛 古舘寛治
奥野瑛太 吉村界人 柳ゆり菜 佐藤 玲 野田あかり 文 晟豪 / 加藤 諒 浅香航大
村上虹郎 津田寛治 / 渡辺 哲 銀粉蝶

監督・脚本・編集:熊坂 出
音楽:YURI SHIBUICHI
主題歌:踊ってばかりの国「ghost」
撮影:南 幸男 撮影助手・照明:井上裕太 録音:弥栄裕樹
ヘアメイク:百瀬広美 助監督・美術・装飾・衣裳:葛谷朱美
配給:gaie 配給協力:Mou Pro.
制作プロダクション:テレビマンユニオン
2021年/日本/117分/5.1ch/シネスコ(1:2.39)/カラー/G
(c) 2021「プリテンダーズ」製作委員会

HP:https://pretenders-film.jp/

おすすめ記事