不要な人材は企業から“自ら”辞めるように仕向けられる
「業績評価が高いAランクの評価の社員に対しては『
これからも会社のために一緒に全力で頑張ってくれ』と、早期退職者募集には応募しないよう説得していきます。評価がBランクの社員に対しては、『
残るも去るも自由にせよ。但し、残った場合は会社立て直しのため高い目標が課される。それに耐えられるか? 早期退職は期間限定だ、あのとき応募しておけばと後悔することにならないか、よーく考えてみろ』と少し煽るようなことを伝えます。
そして業績評価の低いCランクの社員に対しては、『
あなたの仕事は社内にない。あなたの仕事は社外の仕事を探すことだ』と暗に早期退職への応募を促します」
この面談によって評価の低い社員は、まるで「自ら早期退職制度に応募した」ようにもっていかれてしまう。
その早期退職の理由も、たとえば「これまで働き詰めだったから、ゆっくり休んでから起業するんだ」「先輩から声を掛けてもらっているから、その会社に転職するつもり」など、
表向きは前向きなものとして取り繕われることが多いという。しかし、こうした表向きの「早期退職の理由」も白根氏から言わせれば、「キャリアビジョンがある方は、すぐに転職したり、すでに友人の会社を副業で手伝っていたりするのに対し、行動が遅いというか。現状と言動が乖離していますよね」と、突き詰めれば後付けの理由でしかなく、
その実情はほぼリストラに近いものであることが多い。
早期退職で明暗を分けるポイントは「準備をしておく」
とはいえ、早期退職をして全員が後悔しているわけではないという。成功と失敗を分けるポイントは何なのだろうか。1つ目のポイントは「
流されない」こと。
「まず、面談の中で
なんとなく流されて早期退職を決定してしまうことはやめましょう。先ほどお話したように、評価がBランクとCランクの社員はすでに組織で早期退職勧告をされる流れができあがっています。早期退職募集条件は公表されていますから、自分がどうしたいのかをあらかじめ考えたうえで面談に臨むようにしたいですね」
そして2つ目のポイントは「
セカンドキャリアの目標を早期に設定しておくこと」だ。
「人生100年時代、生涯現役の時代です。終身雇用・年功序列賃金はすでに過去のものであることを認識しておきたいですね。そんな現実を冷静に見据えたうえで、セカンドキャリアの目標を早期に設定しておく。そして、その実現に向けて着々と準備をしている方が早期退職を機に新天地にうって出て成功しています。なにごともいちばん力のある者ではなく、“
いちばん準備をした者”が勝つのです」
今後、早期退職者募集がすべての会社においてさらに加速度的に実施されることが予想される中、仕事の最終目標を決め、その実現に必要な能力修得・資格取得・人脈づくりを在職中から戦略的に取り組むことが重要だという。
そんな物事を主体的に考えられる人材は、社内でも評価を得られるだろう。その結果、早期退職勧告を受けにくくもなるのである。
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):
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